双葉郡浪江町 請戸地区

平成23年3月11日の東京電力福島第一原子力発電事故により、町内全域が居住できない避難指示区域となっている双葉郡浪江町。今年の9月には「特例宿泊」、11月には「準備宿泊」が行なわれ、各地域の状況は下の画像になる。

現在は人口の約四割を占める避難指示解除準備区域を復興拠点とし、様々な工事・作業が行なわれており、国道六号線の再開通以降、初めて請戸地区の海沿いを周る。但し護岸工事等による立ち入り禁止のため、海岸沿いには出なかった。

相双地区の各河川は鮭が遡上する。中でも請戸川は観光としての知名度も高く、私も数度訪れたことがあった。当然ながら震災以降は行なわれておらず、今でも変わりなく上って来るのだろうか‥。

請戸漁港付近に昔の名残は見当たらず、その頃の記憶のままなので感覚が掴めない。上画像は漁港近くに立つ復旧の工程案内。

沿岸部の災害廃棄物(瓦礫)類は片付いているが、荒涼とした大地の中に当時のままの家屋が点在し、三年ほど前のいわき市や相馬市の光景に時間を巻き戻したようだ。

県道254号線の片隅ある供養塔。以前は各海岸にあったのだが、護岸工事が進み多くは移転した。この周囲の空間放射線量、確認すると毎時0.13μSvと想像以上に少なかった。少ないから避難指示解除準備区域になったとはいえ、隣町の双葉町や大熊町に入ると国道六号線沿いでも10μSv以上の箇所もある。

請戸海水浴場から望む第一原発、直線距離で凡そ6km。放射線が低いとは云え、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域がある町内に戻りたい人はどれ程なのだろうか。まして事故や地震による更なる被害が無いとは言い切れない原発を控え、おそらく若い人の殆んどは帰りたくないだろう。


各々に思惑は様々あるが、石原元環境大臣の「金目」発言が問題になったように、国や行政、そして東電や住民も突き詰めればこれに行き着く訳で、後々多くの問題を含むものの、損得を考えず純粋に帰ることを願うのは老人だけなのかも知れない。