不思議な夜

皆さんは不思議なモノを見た・聴いたという体験はないだろうか。先日、夜の海での撮影の際、ちょっと不思議な体験をした。(下の画像はイメージです)

その日、行き慣れた海岸での撮影を行おうと夕刻まで車内で待機していた。ふと前を見ると白い人影が道路を挟んだ物置の右側から後ろに回った。左に抜けるのだろうと見守るが人影は現れず、単に目の錯覚かとそれ以上考えることはなかった。


次第に周囲が暗くなり、撮影場所である海岸に向かう。いつもは堤防に登り堤防上から撮影を行うのだが、何故か今日は気乗りせず登ることを身体が拒む。風が吹いている訳ではないが、強風に煽られれば海に落ちる危険性があり、構図に制約が生じるものの無理せず登らずに撮影することに決めた。


まずはファインダーを覗きながら堤防沿い数歩ずつ横移動し立ち居地を決める。位置が決まれば三脚を立てフレーミングを行い時を待つ。暫くすると枯れ草を踏むような足音が聞こえてきた。ザッ、ザッと近付いては離れるその音は紛れもなく人の気配でありながら、振り返っても誰もいない。いないというより、直ぐ後ろには人が入り込めないほどテトラポッドが隙間なく置いてある。


こういったことは時折りあるので気にせず撮影を始めるが、足音は途切れることがなく周りを見渡しながらの撮影だった。結果はイメージする景観にはならず撤収作業に入る。既に暗闇と化した時間帯であるが、ふと5mほど右側の堤防上を見て驚いた。


そこには両手で持つ位の石があった。先に横移動しながら立ち居地を決める際は何も無かった‥いや、あれば当然ながら存在に気付いていた筈だ。思わずゾッとしたのだが、ずっと聞こえていた足音の原因を妙に理解する。そしていつものように堤防に上がっていたならば、深い海に引きずり込まれたり突き落とされていたかも知れない。因みに石の写真を撮ろうとするも、此処から逸早く離れることを優先した。


雨月物語の仏法僧じゃないが、夜は修羅の世界だと思っている。人里近ければまだ良いかも知れないが、そんな理由から山深い場所や灯りが遠い場所には足を踏み入れないようにしている。更に夜の水辺は特別な用事がない限り、近付かないことが賢い選択だと思う。


風に語りて - Talk to the Wind -