徒然のブログ記事

徒然(ムラゴンブログ全体)
  • 恋 人

    春に咲く花を君は黄色といふ そして僕は桃色といふ あぁ二人でいる部屋の虚しさよ 秋に咲く花を僕は紫といふ そして君はもうこの部屋にはいない 冬に咲く花を僕は黒といふ 何も見えず聴こえない 土の中で黒といふ あぁ夏は夏は何処に逝ったのだろう 「風に語りて - Talk to the Wind -」

  • ある日のクリスマス・イヴ

    平成になってから23日が休日となり、この日にクリスマスのパーティーを行う家庭が多くなった。斯く言う私の家もそうなのだが、毎年休めないので今年も家内と夕方頃から予約してあったケーキなどを引き取りに行く。そんな夕暮れの街中で人々の流れを眺めながら、36年近く過ぎたある日のクリスマス・イヴを思い出してい... 続きをみる

  • 夏の摩天楼

    轟然の地表の角度は傾き 灼熱の摩天楼に舞台は巡る 歩む速度は劣り胸は苦しさに潰され  流れる汗に息も果てる骨と皮の物体よ それでも太陽は容赦をしない そう・・・神は時折り過酷な試練を告げ 露台のてっぺんで高笑いを繰り返す それでも不朽の物体は生きる 臭い息を吐き八つ裂きにされた臓物を腹に押し込め生... 続きをみる

  • 春の宴

    窓越しに散る行く夜桜 帯を解く君の素肌に舞い降りる 君の乳房に触れ いつしかその白き肌 仄かな桜色に染まる 夢の如く儚い時の流れの中で 君の阿吽の溜息が 我が肉体を復辟の艀へと誘う 朝を迎え 輩の世に再び下落する折り 君は振り向き花ひら手に拾う 暖かき南風が悪戯に吹き抜け 注ぐ陽光に罪深きふたつの... 続きをみる

  • からくり庵の詩人

    (旅立ち) 西暦2ξζδ年、時の政府は来る左利きの時代に向け新たな政策を発表した。それは冷凍保存した人造人間をNo.1からNo.9までを解凍し、遥か彼方のユートピアを目指すべく宇宙へと旅立たせた。併し一部の有識人とマスコミは人造人間の欠陥とプラスチック帝国の反乱に恐れを抱き、地底の奥底に潜り込んで... 続きをみる