只見線、残暑の峡に光は満ちて
08日(土)、福島県の梅雨明けは08/04、そして立秋が08/07。梅雨が明けてようやく夏本番を迎えるが、暦の上で夏とされるのは立秋の前日まで。つまり「暦に当てはめれば、今年の夏本番はたった三日間だけ」という穿った見方もできる‥と、先日Xにポストしたが、その後はとても暑い一週間となり、寝苦しい夜が続いた。
高温、且つ太陽が顔を出すと川霧は立ち難い。併し前日は雨で只見線が運転見合わせとなり、この日は午前中が曇り午後からは雨の予報と、条件が揃う可能性はあると見て、向かってみることにした。いつもは04:00頃に柳津町の円蔵寺橋を通過するのだが、車窓から川面の様子が伺えない。先週は望めたけど、一気に日が短くなってきたようだ。

まずは当日の最初の目的であった、第一只見川橋梁の西側俯瞰ポイントに行ってみる。状況は川霧と山霧が混濁し全く見通しが効かず、マイルールで10分ほど様子を見ていた。その間にちょっとでも被写体が望めれば居座るが、全く改善されそうにないので移動することにした。

移動先は大沼郡三島町大字名入字上居平、国道252号線からの第二只見川橋梁。橋梁は立ち位置から300mほど先の目線上だが、動き回る川霧はホワイトアウトを繰り返す勢いだった。上り始発便の通過前、昨夜の雨で運転見合わせになった送り込み回送列車が会津川口駅へ向かって行った。撮ろうとファインダーを覗くが、ホワイトアウトで通過音だけを残すだけだった。

「立ち迷う夏岸の霧幻」~ F8・SS1/320・ISO200 ~
車両は06:02通過の上り422D。此処では背景の山の稜線の取り込み方が思う以上に面倒だ。山霧で稜線が覆われていれば楽なのだが、動き回る川霧と相俟って構図を決めかねていた。そうこうしている内に通過の時間となるが、ほぼホワイトアウトに近い状況となり、首都圏色の赤い車両が視認出来る位置でシャッターを切った。現像では車両のコントラストを僅かに+補正し、反対に霧は-補正する。
午前中曇りの天気予報は当たらず、この便を撮り終える頃には青空が広がり気温も上がってきた。するとみるみる川霧の姿は消え、コントラストが強い真夏の景観へと変貌、私が最も苦手とする光具合となってきた。

その光を避けるように只見町方面へ向かうが、何処も太陽が燦々と降り注ぎ、撮るべき対象が全く決まらない。そんな状況下、南会津郡只見町大字塩沢字上川原の会津塩沢駅へ寄ってみる。画像の車両は07:27発上り426D。矢張り昨夜の運転見合わせの影響か、通常は二連だが単行での運行となっていた。
この時期の会津塩沢駅と云えば駅前に咲く向日葵だ。ところが数週間前から確認しているものの成長の気配がない。近所の方に話しを聞くと、昨年、自然と零れた種から芽が出る筈だったが、その様子が全くなく、急遽線路沿いの一部だけに種を蒔いたとのことで、残念ながら例年の景観を見ることは出来なさそうだ。余談だが、郡山市湖南町の郡山布引風の高原では、向日葵畑が鹿に食い荒らされ、今年は全滅となったらしい。

まだ07:00台だというのに汗が流れる。相変わらず何を撮るかも定まらず、こうなったら輝く太陽を逆光で捉えようと大沼郡金山町大字本名字唐倉、本名ダム側からの第六只見川橋梁へ向かう。到着時は適度に雲があったのだが、車両通過時には極一部を残すのみになった。

「深き残暑の峡谷を越えて」~ F14・SS1/640・ISO160 ~
車両は08:22通過の下り423D。空には薄雲や霞などがなく、太陽の光芒は映えたと思う。車両前後が補剛材に重ならないよう気を配る場面だが、スロー走行だったので苦もなく車両を置くことが出来た。色合いの理由からモノクロを選び、且つ残暑の気配を僅かに残すため、ややセピア調にしている。
さて先週は一日中曇り、北西の風が心地良く、撮影枚数も自然と増えた。併しこの日はそれ以前の強い光と暑さの陽気に戻り、三便撮ったところで撮影意欲が萎えてしまった。実のところ、週末の度に奥会津へ通う日々が長く続き、イメージが枯渇していることも事実だ。
午後からは雨の予報で川霧が期待出来そうだったが、そんな心境のままカメラを向けてもロクなものは撮れないと判断し、この時点で帰ることを選んだ。帰宅後、「15:08現在、大雨の影響で、会津川口~只見駅間の運転を見合わせています」との運行情報があり、良くも悪くも帰って正解だったかも知れないと思った。
奥会津の残暑は、日々の光の強さが撮影の心を左右する。霧に包まれた橋梁、強い日差しに変わる瞬間、そして撮るべき対象が見つからない時間。その揺らぎの中に、今年の夏が静かに過ぎて行くような感覚を覚える。通い続けることで見えてくる枯渇、ふとした瞬間に訪れる再生。そのどちらも、奥会津の季節が与えてくれるものなのだろう。
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