川霧の向こう‥只見線とある男の静かな時間
列車が来るまで、あと十二分だった。 男は三脚の脚を一本だけ伸ばし直した。 夏の朝だった。空は薄曇りで、只見川の上には白い靄が低く漂っている。川面から立ち上った霧は、山の裾を這うようにゆっくりと動き、対岸の木々をところどころ隠していた。 男はファインダーを覗いた。 まだ列車は見えない。 それでも、も... 続きをみる
列車が来るまで、あと十二分だった。 男は三脚の脚を一本だけ伸ばし直した。 夏の朝だった。空は薄曇りで、只見川の上には白い靄が低く漂っている。川面から立ち上った霧は、山の裾を這うようにゆっくりと動き、対岸の木々をところどころ隠していた。 男はファインダーを覗いた。 まだ列車は見えない。 それでも、も... 続きをみる