川霧の向こう‥只見線とある男の静かな時間
列車が来るまで、あと十二分だった。 男は三脚の脚を一本だけ伸ばし直した。 夏の朝だった。空は薄曇りで、只見川の上には白い靄が低く漂っている。川面から立ち上った霧は、山の裾を這うようにゆっくりと動き、対岸の木々をところどころ隠していた。 男はファインダーを覗いた。 まだ列車は見えない。 それでも、も... 続きをみる
列車が来るまで、あと十二分だった。 男は三脚の脚を一本だけ伸ばし直した。 夏の朝だった。空は薄曇りで、只見川の上には白い靄が低く漂っている。川面から立ち上った霧は、山の裾を這うようにゆっくりと動き、対岸の木々をところどころ隠していた。 男はファインダーを覗いた。 まだ列車は見えない。 それでも、も... 続きをみる
春に咲く花を君は黄色といふ そして僕は桃色といふ あぁ二人でいる部屋の虚しさよ 秋に咲く花を僕は紫といふ そして君はもうこの部屋にはいない 冬に咲く花を僕は黒といふ 何も見えず聴こえない 土の中で黒といふ あぁ夏は夏は何処に逝ったのだろう 「風に語りて - Talk to the Wind -」
平成になってから23日が休日となり、この日にクリスマスのパーティーを行う家庭が多くなった。斯く言う私の家もそうなのだが、毎年休めないので今年も家内と夕方頃から予約してあったケーキなどを引き取りに行く。そんな夕暮れの街中で人々の流れを眺めながら、36年近く過ぎたある日のクリスマス・イヴを思い出してい... 続きをみる