只見線、秋へのひとかけ

M.Hermitage

15日(日)、梅雨明けした後も天候は安定せず、私の住む地域は毎日のように雨が降っている。涼しくて良いと云えば良いのだが、盆明けは暑くなるとの予報に、果たして身体が付いていけるかどうか自信がない。


さて先週の撮影記では長らく奥会津での撮影が続き、イメージが湧かないと記したように、他の撮影地を考えていた。併し週末の天気予報では会津方面を除き県内はほぼ雨曇となり、結局のところ奥会津へ向かうことにした。

まずは先週はホワイトアウトで撮れなかった、大沼郡三島町大字西方字居平からの第一只見川橋梁へ向かった。到着すると陽光が射し、霧は少しずつ流れそうな気配もあったが、先週よりも厚い川霧と山霧で、矢張り見通しは全く効かなかった。


高天原」~ F8・SS1/200・ISO200 ~


マイルールで20分ほど様子を窺っていたが、晴れそうにないのでこの地を後にした。眺めている間、遠くの山々が雲海のような形状になり、その美しさに思わずシャッターを切った。目的とする第一只見川橋梁は撮れなかったが、あの雲の下には神々が住み、二週通って撮れなかったことへの贈り物なのかも知れない‥そんな想いを静かに馳せていた。


太陽が元気よく、これでは川霧も消えてしまうだろうと思いながら只見方面へ向かい、先週も立ち寄った南会津郡只見町大字塩沢字上川原の会津塩沢駅に車を停める。先週も書いたように、例年であればこの空き地に向日葵が咲くのだが、今年は残念な結果となった。画像右の一本の向日葵を主体に07:35発上り426Dを撮ってみたものの、どうも上手くいかなかった。


奥会津ヲ旅ス op.6」~ F10・SS1/640・ISO200 ~


車両は08:51発下り423D。線路沿いに咲く向日葵脇に立って撮影する。この時間になると背景の山々に流れていた霧もすっかり上がってしまい、良くも悪くも観光パンフレットのような印象となり、来年は一面に咲く向日葵の姿を期待したいところだ。


列車の到着を待っていると、近所の方々が大勢やって来た。どうやら帰省した子供たちが乗りたいとのことで、二駅先の只見駅までのプチ旅行になったようだ。因みにこの便は会津若松からの始発下り便になるが、乗車率はそこそこ高かったように見えた。

今迄は輝く太陽に撮る場所が決まらず、右往左往していた。それが重なると疲れも溜まり、撮影意欲も萎えてしまう。そんなことを振り返り意識を変え、五月以来となる会津平へ向かってみる。この画像は河沼郡会津坂下町大字大沖字大江の田園。写ってはいないが右手には若宮駅がある。稲の種類は分からないが、この画角内の田んぼは他に比べて色付きが早いようだ。


戦 ぐ」~ F10・SS1/640・ISO200 ~


車両は13:44通過の上り428D。この便の凡そ八分前に通過する下り427Dで試し撮りを行う。陽射しはあるものの爽やかな東風が心地よく、その風に戦ぐ色付いた稲の姿に秋を感じた。天候不順ではあるが、暑い暑いと言いながらも季節は知らず知らずの内に進んでいるのだなぁ‥と、大地と過ぎ行く列車を眺めながら、頬を撫でる風の中で思った。そして稲の波が風に揺れる度、夏の名残りと秋の気配が同じ地平でそっと重なって見えた。


次は大沼郡会津美里町新沼尻、通称高田カーブへ向かう。暫く此処に立っていなかったのには理由があり、丸印部の雑草が蔓延り、通称のカーブを望むことが出来なかった。今回訪れてみたところ、その状況は改善されておらず、直線形状の線路で画作りをすることにした。


秋 隣」~ F8・SS1/400・ISO200 ~


車両は16:59通過の上り430D。おそらく季節が進めばススキは伸び、穂が増えて線路は隠れてしまうかも知れない。手前側のススキが無ければ、向かって右へとカーブする線路も画角に入り込むのだが、そこは致し方なく、言い換えれば良いタイミングで撮れたのだろうか。


「戦 ぐ」でも書いたように、陽射しはあれど涼しい風の中でススキの穂を見ていると、気持ちは勝手に秋を先取りしているかのようだった。


続いて大沼郡会津美里町米田字米沢にて17:27通過の下り431Dを撮る。色味などは良いのだが、西の空には雲が多くなり、イメージするような景観にはならなかった。

夕刻は会津若松市北会津町西後庵、後庵踏切周辺から鶴沼川橋梁を望む。五月には水田の様子を撮った場所だが、気付けば季節の流れは早く、稲は出穂して首を垂れ始めていた。日が落ちる前、まずは17:58通過の下り433Dで様子見を行う。


暮色流景」~ F2.8・SS1/400・ISO800 ~


車両は18:46通過の上り432D。433Dは会津坂下駅で折り返し、約50分後に通過する当便となる。謂わば平日の通勤・通学専用列車なのだが、祝日の上り便は特に乗客が少ないようだ。日が沈み、夕焼けを期待していたものの、先述したように西空の状況は芳しくない。それでも全く焼けない訳ではなく、僅かに残った光が去り行く列車を淡く染めていた。


五月以来の会津平での撮影は、涼やかな風に助けられ、列車を待つ時間も奥会津の暑さとは比べ物にならないほど過ごし易かった。そして何よりも、田んぼの様子に秋の気配を感じた。奥会津で強い陽射しに追われていた日々を思い返すと、このの日の会津平の穏やかさは何処か別の季節に足を踏み入れたようで、心の置きどころまで変わって行く気がした。列車の通過を待つ時間さえ、風景の中に身を預けるようなひと時となり、季節の流れが確かに進んでいることをそっと教えてくれていた。


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