奥会津、落夏の様相・・・午前の部

M.Hermitage

12日(土)、肌寒さを感じる日が続いている。週明けには少し暑さが戻るようだが、人間とは勝手なもので、暑い暑いと言いながらも、夏が終わってしまうとどこか寂しさを覚える。そんな折り、この数日の最低気温は20℃を下回ることもあり、もう川霧は立たないだろうと思いながら奥会津へ向かう。尚、今回の撮影記は午前と午後の二部になる。


最初の撮影は柳津町のソバ畑を考えていた。国道252号線沿いのソバは咲き誇っているが、私が撮りたい線路沿いはまだ成長が遅く、次回に再訪することにした。

そんな訳で何処で撮るかを思案する。そして明るくなると各所で川霧が立っていることを確認し、大沼郡三島町大字桧原、通称船着き場から望む第一只見川橋梁へ向かった。前夜からの雨が残っていることもあるのか、薄手のジャンバーを必要とする冷気の中に立つ川霧は、夏の様相とはだいぶ異なって見えた。

眩惑の彼方」~ F8・SS1/125・ISO400 ~


車両は06:05通過の上り422D。日が短くなり峡谷には光が届かず、そのため独特の色合いになっていた。また山々は夏の色が減退し、僅かに茶褐色が混じってきたようだ。考えてみると、この時期にこの地へ立つことはあまりなかったかも知れず、道路沿いの雑草の多さに驚く。そしておそらくは私にとって今季最後の川霧になるのだろう。


この地では私の他に三人の撮影者がいた。その中で年配と若い男性の二人組の会話が耳に入った。若い男性はまだ初心者なのか、構図がなかなか決まらない様子だった。すると年配の男性が「後でトリミングすればいいよ‥」と言っていた。


16:9などのアスペクト比のように、トリミング前提であれば広めに撮っておくという手段も分かる。併し彼らは私より先に到着していたにも関わらず、撮影地に立ったのは列車通過の数分前だった。何故それまでに構図などを考察していなかったのか。もし私がその年配の男性の立場であったなら、少なくともそんなことは言わない。


三島町から金山町へ向かう。霧幻峡など途中の只見川には川霧が立ち、大志集落も画像のような状況だったが、今夏は二度ほど同じ光景を撮影しているので、今回は眺めるに留めた。

さて次便は大沼郡金山町大字中川字下田面で撮ることにした。横構図の方が適したシチュエーションながら、次便は単行となり、集落とその単行を縦構図で切り取ってみる。


朝の眠りを覚ます二番列車」~ F8・SS1/160・ISO320 ~


車両は07:13通過の上り424D。度々書いているが、線路沿いの雑草の状態が気になりながら、今回は車両下部がぎりぎり隠れずに済んだようだ。雨交じりの曇り空のため、朝の光はまだ田面に届かず、集落の色も何処か眠りの名残りを引き摺っていた。


続いて先月末だったか、田んぼが色付いたら来ようと考えていた、大沼郡金山町大字西谷字白沢口からの第六只見川橋梁へ向かう。降ったり止んだりの雨はいよいよ本格的に降り出し、山間には雨霧が立ち始めた。


山懐の幻影」~ F10・SS1/125・ISO320 ~


車両は07:53通過の上り426D。通過間際に雨が止み、見通しが改善された。2022年の再開通で上路ワーレントラス構成となった橋梁は、列車を置くポイントが難しくなり、結果的にどうしてもこの画像のような状況になってしまう。気になるのは右側にあるビニールハウスだが、彩度やコントラストを下げ、存在感を薄くした。


山中、特に茂みの中の停車でこの時期にありがちなのが、窓やドアを開けた途端に飛び込んでくるアブの存在だ。この時も降りる際に数十匹のアブが車内に入り、こうなってしまうと手の付けようがない。いつもは窓を全開にしたまま停車・走行しているのだが、この日は雨が降っていたため、撮影中はバックドアを開けたままにしておいた。


第六橋梁を後にし、先週も撮った大沼郡金山町大字滝沢字荻ノ瀬のソバ畑へ向かう。一週間が経ち花数は揃ったようだが、小雨模様と厚い雲に覆われ、色彩が今ひとつ冴えない。それでも何とか撮ってみようと準備を始める。


玄鳥帰ル」~ F10・SS1/400・ISO200 ~


車両は08:44通過の下り423D。背景の雨雲もあってモノクロも考えたが、この日撮った画像の中では現像・レタッチに一番時間を要した。そんな状況の中、キハE120の通過を期待していたものの、キハ110のデフォルト色はこのような景観に溶け込み過ぎて、どうにも映えないようだ。それでも雨の粒が細かく漂う中で車両を待っていると、ソバの白さが浮き上がり、季節の端をそっと示しているように見えた。


午前中最後は会津川口駅方面に戻り、先週、好天で撮れなかった大沼郡金山町大字川口字上井草村下からの大志集落を望む。秋になると丸印部の田んぼが色付き、赤い屋根に映えて美しかったのだが、数年前から一部を残し作付けは行われていない。


落蝉鳴ク」~ F10・SS1/250・ISO200 ~


車両は09:40通過の下り425D。雨が上がり、それを待っていたように一匹のミンミンゼミが鳴き始めた。その鳴き声はか細く、去り行く夏を惜しむかのようだった。列車が通過すると集落に静けさが再び戻り、色を失った田んぼの一角は、かつての秋の輝きを思い出させるようでもあり、今年の夏の短さをそっと語っているようにも見えた。


朝からの雨は落ち着き、午後からは会津平での撮影を考えていたが、まだ確定はしておらず、その途中の行く先々で決めることにした。


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