奥会津、落夏の様相・・・午後の部

M.Hermitage

12日(土)、午後の部。会津平を考えていたが、暫く行くことが無かった、河沼郡柳津町大字飯谷字新町甲の柳津段丘北側へ向かうことにした。

只見線の線路は白矢印の位置で、以前は赤矢印の辺りに立ち、前景に田んぼを配して撮影していた。併し午前の部でも触れたように、此処でも四面ほどあった田んぼは、現在は一面のみとなってしまった。ただ、この画像を撮った周辺が伐採され、見通しが利くようになっていた。


あゝ秋だ、ただ何となく秋だ」~ F10・SS1/250・ISO200 ~


車両は13:16通過の上り428D。画像左に見えるのは、柳津運動公園のナイター設備。柳津段丘の北側はなだらかな丘陵となっており、南側の平坦な地形とは形状が異なる。どちらも田んぼが耕作されているが、斜面となる北側では、年々その数が減っているようだ。


ちょっと汗ばむような陽気の下、此処から遠くを往く只見線の列車を眺めていると、少し大袈裟に云えば、過去も未来も超越したような気分になる。聞こえるのは頭上の蝉の声と、風に乗って届くジョイント音だけであり、それで良いと思えてくる。


続いて大沼郡金山町大字横田字山根へ戻る。まずは第七只見川橋梁を望むのだが、先週の撮影記でも書いたように、田んぼ間の路には電気柵が設けてあり立ち入れない。従って遠くから望遠を使っての画作りとなった。


物蔭に漫ろすだける虫の音や」~ F10・SS1/200・ISO200 ~


車両は15:02通過の上り430D。先週はまだ立っていた稲も、降り続く雨の影響か、多くが倒れかけていた。物蔭であてもなく彷徨う虫の声が、冷気を帯び始めた空気の底から、ゆっくりと立ち上がる。その響きに耳を澄ませば、ただ秋の気配だけが足元に残るようだった。


次は先週撮った場所へ移動する。その際は朝の陰日向を縦構図で捉えたが、この時間帯の光はフラットな状態となっていた。先の430Dもそうだったが、この田んぼの様子からすると、今年の稲刈りは例年より早いかも知れないと思った。


奥会津ヲ旅ス op.7」~ F10・SS1/400・ISO200 ~


車両は15:53通過の下り427D。通過の頃になって西日が射し始めたが、山々の陰は生じていない。私的にはフラットな状態が好ましかったが、光の具合に合わせて露出を調整する。稲穂の色は既に深く、風に揺れる度に秋の粒が零れそうだった。列車の音が遠ざかると、丘の向こうに淡い光が残り、季節の輪郭だけが静かに浮かび上がっていた。


さて夕暮れに只見方面での撮影も考えたが、今回は枚数が多くなったので帰ることにした。午前の光はまだ夏の名残りを引き摺り、季節の境目が曖昧なまま流れていった。午後には虫の声が物蔭から立ち上がり、稲穂の重さと風の層だけが秋の輪郭を示していた。


こうして一日を通してみれば、劇的な場面は何ひとつないが、光と風景がゆっくりと姿を変えていく時間そのものが、今日の好機だったのだと思う。列車の音が遠ざかる度、風景は僅かに形を変え、その変化を拾い集めることができた。それだけで十分だった。


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只見線 柳津町飯谷 428D ~ 金山町横田 430D、427D・・・26/09/12