秋極の通過点、色褪せた奥会津の山々

M.Hermitage

01日(日)、前日に奥会津へ出掛ける予定だったが、雷雨の天気予報を受けて翌日に変更した。変更した理由は、奥会津の紅葉撮影に適した曇りの天気だったからだ。なぜ曇りが紅葉撮影に適しているのかについては、後ほど触れたい。


また、途中途中で目に映る三島町や金山町の紅葉はあまり良くないように見えた。今夏は暑さが続かず期待したのだが、例年のように色付く前に散ってしまうような気配を感じた。

最初は大沼郡三島町大字西方字居平から第一只見川橋梁を撮影する。夜半に雨が降ったのか、道路は濡れて冷え込む朝だった。到着時は山霧が流れていたが、列車が通過する頃には消え去り、靄が残る見通しの悪い景観となった。


「いろはにほへと ちりぬるを #1」~ F10・SS1/160・ISO200 ~


「いろはにほへと ちりぬるを #2」~ F10・SS1/250・ISO200 ~


車両は#1が07:24に通過の下り423D、#2は07:42に通過の上り424D。通常のこの両便は単行運用なのだが、半月ほど前から二両編成での運用になっている。紅葉シーズン限定の措置かも知れないが、撮影する側としては非常に有り難い。実際、いつもの単行であればこの場所で撮ることはなかった。


併しながら前述したように靄が残り、視界はすっきりとしなかった。山々の色付きまでもが霞んでしまい、帰宅後にPCの画面で確認した際は、ボツにしてゴミ箱へ送る一歩手前だった。そこからコントラストや彩度、明暗などを調整。普段レタッチ作業は数分で終えるのだが、画像を見直しながら日を跨ぐ作業となった。因みに#2は#1から20分経っての撮影だが、その僅かな時間の経過によって光が変わり、色調もずいぶんと改善されていた。


第一只見川橋梁の撮影を終え、続いて第三只見川橋梁へと車を進めたが、矢張り色付きは今ひとつであった。冒頭で“紅葉撮影には曇りの天気が適している”と書いたのは、まさにこれが理由である。色付きが不十分な状況で強い日差しが射し込むと、葉の表面が白っぽく浮いてしまい、紅葉の深みが薄れてしまうのだ。

当日は曇りの予報ではあったものの、時折り雲間から陽が射し込む不安定な光具合となった。これでは第三只見川橋梁を撮る条件としては厳しいと判断し、大沼郡金山町大字水沼字田下モへと移動し、細越拱橋を遠望するポイントから眺めることにした。


「有為の奥山」~ F10・SS1/160・ISO250 ~


車両は08:58発の上り426D。繰り返しになるが、このポイントでの撮影も薄曇りがベストだ。とは云え、この日の目まぐるしく変わる空模様では、いつ光が射し込んでもおかしくない状態だった。そして予感は的中し、車両通過時になると川面に光が当たる。


明暗差が激しくなったことで、「いろはにほへと ちりぬるを」と同様にレタッチ作業には時間を要した。つまりこのような撮影状況の場合、私の撮影及びレタッチのスキルでは対応が追いつかず、本音を言えば避けたかったというのが正直なところだ。


午後になるとそれまでの雲がすっきりと消え、青空が広がってきた。空は晴れても気温は一向に上がらず、冷たい風が吹き抜ける。このような状況で紅葉の描写は難しいと判断し、逆光でススキを撮ろうと、河沼郡柳津町大字柳津字上村道上乙の長倉街道踏切に来てみたが、線路沿いのススキは明らかに数が減っており、以前の勢いはなくなっていた。


「蟄虫咸俯」~ F10・SS1/400・ISO320 ~


車両は13:17通過の上り428D。この列車は上り側が首都圏色車両になることは既知であり、鮮やかな朱色の車体なら、ススキの輝きの中でも力強く映えてくれる筈‥それがこの場所を選んだ理由のひとつでもある。


ススキの量は以前より減っていたものの、カーブの奥から首都圏色が姿を現すと、ファインダー越しにススキの穂が風圧で舞うのが見えた。秋の陽を帯びてキラキラと輝くその瞬間を目にし、望遠レンズであればその表情を切り取れたかも知れない。また、上部のスペースが足りず、少々窮屈な印象になってしまった点が悔やまれる。


最後は午前中に条件が合わず見送った第三只見川橋梁を、大沼郡三島町宮下の県道237号小栗山宮下線から撮影を行う。今の季節、この場所は15:00を過ぎると徐々に陽が陰り始める。画像は14:39通過の下り427D。直射日光が当たると浮いてしまう褪せた紅葉も、陽が陰ることでしっとりと適度に発色し、カメラ写りも随分と改善された。


「秋極の通過点」~ F10・SS1/100・ISO500 ~


車両は15:57通過の上り430D。先程の427Dから80分ほどが経過し、あたりは完全に陽が陰る。427Dの画像は定番の構図になり、少し視点を変えてみようと、空や電線が画角に入ることを承知の上で引きの構図を選択してみたところ、左上部の空には雲が良い表情を残していた。昔々のように、眼下中央の茂みがなければ橋梁の多くも望めるのだが、木々の生長も含め思うようにならないのが、ありのままの自然ということなのだろう。


陽差しが遮られたことで斜面の紅葉は、しっとりとした落ち着いたトーンとなった。風は更に冷たくなり、静まり返る奥会津の深山をジーゼルカーがゆっくりと抜けて行く。気付けば週末は立冬を迎え、あっという間に秋はいよいよ極みに達したようだ


さて期待しながら訪れた奥会津であったが、肝心の紅葉の色付き具合は厳しく、不完全燃焼の感を否めない撮影行となってしまった。目まぐるしく変わる光線に振り回され、直射日光による色褪せに悩まされた挙句、帰宅後のレタッチでも力不足を痛感させられるなど、到底納得のいく仕上がりとは言えなかった。


とは云え、光が陰った一瞬にしっとりとした表情を見せる山肌に、厳しい条件だからこそ突きつけられた課題や気付きがあったことも事実であり、思うような色合いに出会えなかったこの悔しさを糧に、またこの地を訪れ満足のいく一枚を捉え直したい。


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