岩子の空はけふ紫苑色らし

12日(日)、先週は雪が降り続き、只見線は会津坂下駅~大白川駅間の運転見合わせが続く。土曜には雪が上がり運転再開かと思いきや、今日も明日も運転見合わせとなる。これだけ長引くのはもしかすると線路や周辺設備に被害などが起きたのかも知れない。

そんな訳で相馬市方面へ行くことにした。まずは上画像の大洲道路にて西側を撮ってから相馬市岩子字長谷地の岩子漁港へ向かう。ここ何回かの撮影中、釣り船の出港はなかったのだが、今回は数隻が夜明け前から準備を始め釣り人も集まってきた


下画像はその様子を撮ってみたのだが、これはちょっと難しいというか技術不足というか、露出の設定が儘ならず船の灯りと周囲の明暗差が捉え切れない。更には次第に雨になるとの天気予報ながら、この厚雲の存在はかなり厄介だった。

釣り船が出港する中、明るくなっても太陽は僅かに顔を出すに留まり、ご覧のように朝焼けは期待できない。そんな状況に岩子漁港から相馬市岩子字宝迫へちょっとだけ移動する。


そらはけふ紫苑色らし」~ F10・SS2.5・ISO100 ~


朝陽は望めずこれが精一杯の朝焼け。何故だかこの日は感度をISO100と決めており、先の大洲道路や岩子漁港での画像も同じくISO100で撮った。ほぼ満潮の時間帯なので海苔棚は上部のみが現れている状態。ハイキーの露光、且つそれに準じた補正を行ってみた。


冬凪といへども浪は寄せてをり」~ F10・SS1/25・ISO200 ~


潟湖である松川浦は画像左の松川浦大橋を潜り外洋に向かう。従って外洋に近い所では小波が立つ。撮影していると岩子漁港からの釣り船がやって来た。構図を変えたり動く被写体なので急遽ISOを上げたりとSSの設定が追い付かず、それでも低速走行なので何とか撮れた一枚。


凪を主としたタイトルを考えたがいまいち思い付かず、俳人平井照敏氏の作を引用。それにしても”寄せてをり”といった表現などはなかなか素人には思い付かない。


海沿いの県道74号線などを南下、南相馬市鹿島区南海老字竹ノ内前の万葉の里風力発電所へ向かう。先月初旬にも訪れたが、低く垂れこめる雲により上手く撮れなかった。そしてその時とは異なり田んぼは早々とうねられていた。


冬 旱」~ F10・SS1/200・ISO100 ~


田んぼはご覧のような状況ながら、此処での撮影は太陽がこの位置に登る今頃の晴天、もしくは今回のような薄曇りが適しているのかも知れない。毎度のことだが風力発電のブレードがY字になり、タワーと重ならないタイミングで撮る。


この一帯で数日中に雨や雪が降ったかどうかは分からない。併しながら土の乾いた状況からこのタイトルが思い付く。尚、遠くに見えるのは約7km先の原町火力発電所。


続いて県道391号線を使い双葉郡浪江町大字棚塩字下浜田へ向かう。此処も万葉の里風力発電所と同様に先月も訪れたが、矢張り雲の状況により思うように撮影できなかった。震災前は多くの住宅が並んでいたが現在は荒涼としている。下画像は一件だけ残る立派な瓦屋根の民家。右側には増築もされおそらく大家族だったのだろう、そんな生活の様子が伺える。


5.056日めの太陽王」~ F10・SS1/100・ISO100 ~


一年前にも同じような構成、タイトルで撮っていた。併しその際の樹木は倒れてしまったのだろうか見当たらない。内容からモノクロとし、コントラストや明暗を部分毎に調整した。


浜通りの相双地区には未だ人が住めない地域が多々ある。震災前の景観に戻ることは不可能だが、それでも復興は大きく進んだ。でも住民が以前の場所に戻れることが真の復興であって、その観点からすれば福島での復興は無理なのかも知れない。


天気予報通り次第に雨が降り出す。従って撮影は一旦止めて各地をロケハンする。画像は南相馬市小高区浦尻字北原の綿津見神社周辺。グーグルマップで確認すると海沿いに2kmほどの道があり、「五〇五六日めの太陽王」を撮った双葉郡浪江町大字棚塩字下浜田周辺まで続く。


通行止めなどの看板は設置されていないものの、見ていると大波が押し寄せれば道まで被ってしまう。行けるところまで行ってみようかとも思ったが、その波の様子に今回は止めた。

上画像は福島観光情報サイト”ふくしまの旅”から借用した双葉郡富岡町大字仏浜字釜田、富岡漁港脇のローソク岩。震災前に行こう行こうと思いながら果たすことが出来なかった。現在は下画像のようにその土台というか跡を残すのみとなり、周囲の岸壁の様子も変わってしまった。また仏浜も立ち入り禁止となっている状況。


さて雨脚が強くなり昼を待たずに帰ることにした。実は夜明け前の暗い海岸で不思議なことがあり、それも早めに帰ることにしたもうひとつ理由だが、それは何れメインブログの「Today's mutter」に書くかも知れない。


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