長露光撮影の一日

20日(土)、奥会津の週末は雨との予報に双相・いわき方面で撮影することにし、まずは初日の出を撮った相馬郡新地町大戸浜字北中磯塩入の大戸浜に向かう。

上画像のように日の出40分前の景観は宜しくないです。日の出間近の下画像も矢張り水平線は厚雲に覆われているものの、今回の撮影に関して太陽の存在は然程重要ではありません。


海にいるのは浪ばかり ①」~ F10・SS13・ISO125・ND400 ~


海にいるのは浪ばかり ②」~ F8・SS30・ISO500・ND100+ND400 ~


予てより海岸に無造作に置かれたテトラポットは私的にトドやアザラシの群れに見え、それを主としたイメージを具象化する長露光撮影を試みます。この日は穏やかな波が暫く続いた後、三回から四回の高波が寄せる繰り返しだった。


寄せ波より引き波の方がテトラポットに生き物のような存在感があり、空や雲の動きなどのタイミングを見計らいながら二時間ほどの撮影となった。因みに私はND1000を持っておらず、各種NDフィルターを組み合わせて調整しています。


撮影後、大戸浜から県道38号相馬亘理線で相馬郡新地町谷地小屋字釣師へ行ってみる。震災後はそれこそ荒れ果てた一帯となりこの県道も通行できなかったが、釣師浜漁港や海水浴場、そして小規模ながらラウンドアバウトの交差点などなど見違える景観となっていた。

県道391号浜街道線などを使い南下、棚塩産業団地の福島水素エネルギー研究フィールドや福島ロボットテストフィールド(浪江滑走路)を横目で眺めながら、双葉郡浪江町大字棚塩字下浜田に車を停める。此処は請戸漁港から直線で約1km程の北側になる。請戸漁港周辺は復興が進むが、この辺りは震災直後の姿のままで砂埃を上げながらダンプが行き交っている。


4.694日めの太陽王」~ F14・SS30・ISO320・ND100+ND400 ~


何度かロケハンで訪れた場所で、この日は雲の形状が良く此処でも長露光撮影を行う。言い換えるとこの雲が無ければ長露光撮影は成り立たなかった。またその場の荒涼とした状況に加え、コントラストや明暗の調整幅が広いモノクロを迷わず選択する。


先述した新地町の釣師浜もそうだが自然災害の復興には10年単位での時間を要する。そして二度と同じ景観に戻ることはない。砂埃を上げながら行き交うダンプを見ながら、何年経てばモノクロじゃなくカラーでこの場所を撮れるのだろうか‥と、ふと思った。


夕刻は双葉郡楢葉町大字山田浜字林下の岩沢海水浴場へ向かう。広野火力発電所の夜景を撮るつもりだが完全に曇り空となってしまった。この海岸も震災後に道路や駐車場に亀裂が入り立ち入り禁止となっていた。一昨年にはトイレやシャワー室が完備され海水浴場の復活と相成る。また波の状態が良く全国からサーファーがやって来るようだ。


闇を孕む」~ F14・SS15・ISO200 ~


陽が沈むまで海岸に立ち撮っていたが、干潮なので砂浜の面積が多くなってしまうことも原因なのかどうも上手く行かない。従って暗くなってから駐車場に移動し撮影を続ける。因みに前回は「2018/12/30」の夕刻に撮ったのだが、当時と比べ建屋の構造は大きく変わっている。特に外壁が無くなり尚のこと工場夜景に適した姿となった。


最後はいわき市小名浜字渚での工場夜景です。何年も撮っているが此処のところどうも上手く行きません。ポツリポツリと雨も降り出し撮るには撮ったが以前とは何か勝手が違う。


Midnight Rambler」~ F14・SS20・ISO320 ~


四季を通じ風は右側の海方向へ吹き、特に冬は風速があって排煙は横向きになる。今まで撮った経験からすると空気が重い夏季、適度に拡散する様の方が良いかも知れない。また奥にある信号機の交差点からやって来る車は白くて強い光跡を描きイメージを台無しにする。


テールランプの赤い光跡を残して通過する車も然りで、その形状や台数に加え排煙の様などのタイミングを計りながらの撮影はかなりの時間を要し、upするのは一枚と生産性は至って悪い。更に先述したようにどうしてもイマイチ感が残り暫定的にupします。


さて特に意図した訳ではないが終日ずっと長露光撮影となり、通常露出では一枚も撮っていませんでした。昔々はそんなに珍しいことではなかったが、最近は只見線撮影のウェイトが増え各種フィルターを使う機会は減少し、その感覚というか勝手を忘れていることに気付きます。


@タイトルをクリックするとフォト蔵の大きな画像(別窓)が開きます。