移ろい行く季節の端々にて

08日(日)、稲刈り後、藁を三角錐の形状に束ねて田んぼに並べる。その個体を藁ボッチと云うらしいのだがそれが正式名称かどうかは分からない。ということで先々週も訪れたばかりだがその景観と只見線撮影で会津美里町に出掛ける。03:30起床で外へ出れば気温は9℃でした。湿度感のない空気は澄み渡り、私のように身も心も濁った目にも遠くの街並みの灯りがくっきりはっきりと見えます。

到着時はまだ暗く周囲の状況が分かりません。次第に明るくなりこの一帯の稲刈りは八割ほどが終わったようです。併し目的とする藁ボッチがとても少ないです。あるにはあるのだが撮ろうとする場所に無かったり離れていたりと脳内の構成がまとまりません。

そんな訳であちこち歩いてみると先々週撮った大沼郡会津美里町鶴野辺字押切甲のソバも稲もそのまま残っており、再び内容で撮ることにしました。背景の山々には霧が棚引き、前回と比べ雑草の類も減ったように感じました。画像の白矢印は高田厚生病院です。この位置関係からすると彼方に見える列車は会津高田駅出発後、第二坂下街道踏切を通過する辺りでしょうか。


一番列車がやって来る」~ F10・SS1/250・ISO400 ~


車両は06:29頃通過、下りの始発便となる423D。よく同じものばかり撮っていて面白いのとか楽しいのとか聞かれるけど、私にとって撮ることとは季節や時間、そして天候によって異なる様々な表情を記録する定点観測だといっても過言ではない。それは今回のように澄み渡る凛とした静かな休日の朝、遠くからジョイント音と踏切の警報音が耳に届き、次第に先頭車両の前照灯が見え始める。機材の最終チェックを行いファインダー内に入ってくる列車を待つ一瞬の高揚感や緊張感こそ撮ることの醍醐味と云える。


約30分後にやって来る上りの始発便424Dを何処で撮るか、指標としていた藁ボッチの姿がなく考えがまとまりません。大沼郡会津美里町米田伍姓部の桧ノ目踏切り周辺のロール状の藁を置いた田んぼがありそこで撮ることにしたのだが‥。

やって来たのは何と三両編成でした。最近見る機会がなかったのだが構図も画角も全く当て嵌まりません。更には背景の雲の表情も宜しくなく何より突然の順光に対応できませんでした。因みに通過時刻は06:56頃です。↓動画には私のシルエットが入り込みました。

424Dがそのままの編成で折り返すことに期待し線路と近い場所に藁ボッチがあった大沼郡会津美里町鶴野辺字沖中田で撮ることにしました。ただ藁ボッチの数が少ないのが気になる所です。写っていないが画像の左方向には桜と只見線を撮る春日神社があります。


刈田行ク」~ F10・SS1/500・ISO200 ~


車両は08:10頃通過の下り425D、期待通りに三両編成のままでした。画像を見ると藁ボッチに影が出来ておらず、この日の陽射しと雲の表情はコロコロと変わり露出の調整が大変でした。逆光なら逆光で何とかするのだが、どっち付かずの半逆光は尚のこと難しく、撮影時に白トビを抑え後の補正で暗部を持ち上げる考えで撮りました。


おそらく太陽が雲に遮られ田んぼの奥が暗くなっていたり、その太陽角度は10時位だが、先述したように綿ボッチに影が無いなどこうして見ると不思議な光具合の画像だったりします。


この後の午前中の便は上りが二本あるのだが、はっきりしない空模様にイメージが湧かず奥会津に向かいました。金山町で昼を食べ、折角なので「刈田行ク」で撮った三両編成425Dの折り返し便を大沼郡金山町大字水沼字沢東の第四只見川橋梁俯瞰ポイントから撮りました。


此処に来たのはおそらく昨年の春以来になるのか、先の話しじゃないが同じ写真というか数年に渡り川霧を撮るため夏季は週末の度に通っていたことを思い出します。杉林に入る手前周辺の草が伸び放題となっており最近は訪れる人が少なかったのだろうか。


せゆく季節」~ F10・SS1/250・ISO100 ~


車両は12:39頃通過の上り428D。新緑でも紅葉でもなく景観として特筆するものはありません。ただカラフルな三両編成を活かすべくアンダー露出とそれに準じた補正を行いました。此処からは穏やかな川面の状態に何故かあまり出会えません。車両通過の15分ほど前は橋梁の写り込みがあったのだが、川霧と同じでなかなか思うようには行かないものです。


第四橋梁から大沼郡金山町大字横田字上山根の第七只見川橋梁へ行ってみました。するとご覧のように多くの車が停まっており、そうかこの連休はびゅうコースター風っこの走行日だったと思い出す。とはいえ風っこはキハ48の車体ながら個人的にあまり好みじゃないというか、なので走行日を頭にインプットしていない状態でした。

上画像は13:38頃通過のびゅうコースター風っこ上り9428D、下画像は15:00頃通過の上り430D。撮るには撮ったが何れもピンと来ません。この立ち位置で第七橋梁を撮るのは初めてなので今回はロケハンということにするが、紅葉の季節に向け色々と考察します。

最後は南会津郡只見町大字蒲生字山下の第八只見川橋梁俯瞰ポイントで撮りました。ずっと奥会津の紅葉の具合は如何なものかと山々を眺めていたが、所々変色してはいるもののまだまだです。併し陽が傾き明るさが陰ると茶褐色に変わっていることに気付きます。この画像はコンデジで撮ったものだが、それでも山々はこんな色合いになっています。


秋への消息」~ F8・SS1/160・ISO800 ~


車両は16:05頃通過の下り427D。それにしても肌寒い秋の夕暮れ時、一人で山中に立っていると無性に寂しさが募るものです。肉眼では此処まで色付いたようには見えないが、WBとアンダー露出で色具合を調整しています。撮影後は橋梁周辺の明度、及び全体のコントラストをやや+補正しています。


さて休日でありながら三両編成の車両が運行していたかだが、金山町の方に聞くと再開通一周年で乗客が多いとのことだった。実際に会津美里町での撮影の際、車内を確認すると立っている人は見当たらないものおほぼ満席の状態でした。


そういえばインバウンドの観光客はどうなっているのだろう。現在私は見掛けていないが、コロナの前はそれこそ海外から沢山の人々が訪れていました。多くは台湾や中国、そしてタイからの訪日客だったと思います。


スマホを介して撮影ポイントへの行き方を伝えたり、中でも雪が降らないタイのカップルがレンタカーで冬の奥会津を運転していたことには驚きました。片言の日本語で会話をしたのだが、怖いもの知らずというかほんとに大丈夫だったのかと今もその光景を思い出します。


@タイトルをクリックするとフォト蔵の大きな画像(別窓)が開きます。