福島市飯坂町 赤川滝の不思議

・・・下記は2012/12/12にupした記事です・・・


撮影で時折り訪れる福島市飯坂町の赤川滝、崩れ易い堆積岩で形成され行く度に様相が変わっていることがある。今迄その変貌を具体的に写真などで記録することは無かったが、撮影の度にほぼ同じ構図でカメラを構えても何かが異なり戸惑ってしまうことが多々あり、3.11の震災前後に撮った写真を並べ見比べてみた。


① 滝壷の向かって左側の景観。

上、震災前10/10/08の画像では黄色枠内に何も無い。下、震災の年11/05/07の画像。この震災で飯坂町内からの山道が崩落し通行止めになったのだが、常日頃から落岩の可能性が高い箇所だ。

上11/07/24の画像では、11/05/07で砕けた岩々が大きい形状に変わっており、更には不思議なことに下12/12/02の画像には10/10/08同様に落岩の痕跡は見当たらない。


② 堆積岩が形状が美しい滝の下流。

上、震災前10/12/23の画像。黄色枠内には堆積岩の塊が二つほど川底に鎮座している。下、震災の年11/05/07にはその数が多くなっているように思われる。

上12/04/22の画像はアングルがやや違うので岩があるのかどうか分からないが、記憶ではその存在は無い。そして下12/12/02の画像では完全に無くなっている。①同様、岩が崩れ落ち形状が変わって行くのは理解出来るが、消えて無くなってしまうという状況がどうも理解できず不思議である。


この滝は増水してもこれだけの岩々を押し流すパワーは無い。仮にあったとすれば周辺の景観・形状はもっと大きく変わっている筈だ。それでは誰かが持ち去った可能性だが、滝への細い階段を使い重い岩石を運ぶための機材を搬入することは出来ないと思う。


③ 特徴的な滝前の扇状に水流が広がる一枚岩。

個人的に達沢不動滝より好みである赤川滝は堆積岩の美しさ、及びその岩々を流れる水の様にある。上、震災前11/02/27の画像では一枚岩が悠然と写っている。下11/05/07に於いても形状の違いは分からない。

上11/07/24は震災の四ヵ月後。一枚岩の右側が壊れ扇状の綺麗な水流が見れなくなっていた。下11/11/26では更に形状が変わり、黄色枠内には崩落した一畳半ほどの大きさの岩が立て掛かっている。つまり③の変貌は震災直後ではなくある程度の時間が経ってからであり、徐々に崩壊が進んで行ったと推測する。


こうして細々と見れば矢張り③の変貌に対し、再び同じ景観が見れないと思うと返す返す残念無念。自然は森羅万象、盛衰を繰り返すのは生命体のみではなく、もの言わぬ大地も滝も姿形をかえる生き物と同じであり、カメラに納めることも必要ではあるが、足を運びその場の空気を感じ自分の目で受け止め脳裏に残すことが最重要だと思う。


震災二週間前の赤川滝