早春の海はさくら色

13日(日)、春彼岸恒例となった相馬市尾浜字松川のカゲスカ海岸での撮影。この数年は天候に恵まれずだったが、今年も同様に予報は曇り。とはいえ太陽が出なくとも、表情の良い雲があれば何とかなるかと出向いてみる。

いつになく漁船や釣り船が多く水平線上は賑やかでありました。暗い内から撮影を始めたがそれら船舶が止まったままならまだしも、微妙に動くので却って仇になる。雲の状況も思った以上に芳しくなく下画像、明るくなってからの撮影に切り替える。


彼岸入ル」~ F10・SS10・ISO200・ND100 ~


撮影時間は日の出約10分前の05:45。水平線上には厚い雲が居座り太陽が現れる気配はないものの、上空の春を思わせる色合いが良かったです。その空が白トビを起こさない程度の露光で撮ってみた。個人的にはギラギラの太陽より、雲間からちょっと顔を覗かせる仄かな様子が好みだったりするが、太陽が出ずとも春の海は時として色合いが面白いです。因みに彼岸にはやや早いけど、タイトルは入ル(イル)としてみました。


続いて相馬市岩子字長谷地の岩子漁港へ向かう。途中撮りたい場所はあるも厚い雲に景観は芳しくなかった。さてこの岩子漁港周辺、護岸工事は終わり震災前の景観は無くなりました。震災後の数年はそのままの原風景が残っていたが、残念ながら致し方ありません。そんなことを思いながら景色を眺めていると、ふいに薄い雲越しに太陽が現れ周囲を赤く染めました。


兆 ス」~ F10・SS1/400・ISO200 ~


それは一瞬のことでした。それまでの仄かな桜色の空は赤々と燃え、邂逅とでもいうのか何か神がかり的なものを感じる。急々な状況なので手持ち撮影となった次第だが、ラグーンの松川浦、停泊船はあれど波止場内の岩子漁港は更に穏やかであり長露光撮影を試みたかった。また左側の雲が重々しいなどなど色々あるが贅沢は言いません。


岩子漁港を後にし今年になって二回ほど撮影したJヴィレッジ駅へ向かうべく南下する。今回は避難指示区域を除き国道六号線を使わず各県道が交わる浜街道、及びなるべく海沿いの道を走りながら現在の状況を知る。


上画像は相馬市鹿島区烏崎字牛島の鳥崎海岸公園周辺。左奥に見えるのは原町火力発電所。前々よりこの風力発電を主題に撮ってみたいと考察しているものの、立ち位置や時間帯などなどどうも考えがまとまらない。おそらくそれは夜明け時や夕暮れ時に立ったことがなく、イメージが湧かないのかも知れない。


下画像は浪江町と双葉町の境周辺。双葉町の海岸周辺は避難指示区域になり、先へ進むには国道六号線を使うようになる。あちこちで見かけたのは海岸付近の献花。おそらく此処でも命を落とされた方が居られるのだろう、無性に寂しさが募ります。

最後は双葉郡楢葉町山田岡字美シ森の県道394号広野小高線、岩沢川橋から Jヴィレッジ駅を撮ります。夜の駅ホームを二回撮り、その度にこの橋から撮る構想を練っていた。背後は直ぐJヴィレッジのNo.2グラウンドとなり練習中の声が聞こえる。この県道は近所の方々のジョギングコースになっているのか、Jヴィレッジを利用する中高生なども含め通行人が多い。

まずは08:43発の上り668Mで様子を見る。奥は広野火力発電所。駅舎は左側で構成写真となると白矢印内に五両編成は入りきらないようだ。更にホームなどの施設によって車体下部が隠れるため、此処からは下り列車を撮ることに専念した方が良さそうだ。


春浅く青空忘れし遠景色」~ F10・SS1/400・ISO500・HALF ND8 ~


という訳で約一時間後の09:50発下り671Mを待ちます。時折り雲間から陽が射し露出が安定せずHALF NDを装着する。先の668M共々上下便を↓動画でご覧頂けるが、列車の位置はこれがベストか。撮影記内で再三背景の空のことを書いているが、今回はこの雲の存在に助けられたというか、予てよりのイメージは発電所夜景と列車のコラボ。併しながらこれだけの画角が必要となるとその構想は仕切り直しとなり、加えてこれから樹木が茂ると発電所のみならず、多くが隠れてしまうかも知れずだ。


尚、駅の住所は双葉郡楢葉町大字山田岡字下岩沢であるが、メインブログでは立ち位置の岩沢川橋である双葉郡楢葉町山田岡字美シ森としました。


さて今回の撮影、振り返れば桜色の空や突然の赤い空、そして表情のある雲などなどに助けられました。仮にそれらが無ければフレーミングを変えた、撮らなかったに至ったと思われ、如何に空の存在とは重要なものかと再認識する。


@写真タイトルをクリックするとフォト蔵の大きい画像(別タブ)が開きます。