只見線、落夏の様相

M.Hermitage

16日(土)、先週の夜明け前は肌寒さを覚えたが、この日はやや湿度を帯びつつも、涼やかな朝を迎えた。車を会津川口駅方面へ走らせ川面を確認すると所々で川霧が立つが、いつものように始発列車が通過する頃には消えゆく気配を見せていた。

各ポイントを巡った末、始発便は霧が残る大沼郡三島町名入字上居平の第二只見川橋梁で撮影することに決める。太陽が顔を覗かせ、光が射し込む瞬間を期待したが次第に雲に覆われる。


静謐と鋼の協奏」~ F8・SS1/320・ISO200 ~


車両は06:01頃通過の上り422D。霧は徐々に薄れ橋梁の下に僅かに残る程度となり、寄った構図で画作りを試みる。取り合えずupはしたものの結果としてはオーソドックス、特筆すべき点のない一枚となってしまった。


撮影は国道400号線上から行う。暗黙の了解のように、車は只見川側に停めるのが通例だが、列車通過が近付くにつれ、反対車線側に停める車が増え車道が狭くなる。お盆休みということもあり多くは他県ナンバーのようだが、休日の早朝ゆえ車の往来は少ないながらこうした状況が常態化すれば、他の道路と同様に駐停車禁止となる可能性も否めない。


次はどこで撮ろうかと悩みながら、何年ぶりだろうか大沼郡三島町大字早戸字小津港にある早戸駅に立ち寄った。 以前とは様子が違いホームは樹木に隠れ、そして霧幻峡の簡易トイレが視界の端に入っていた。 撮影したのは同駅07:26発の上り424D。 撮ってはみたものの、背景の山霧の具合や、線路を覆い尽くすように茂る樹木の様子がどうにも気になってしまった。

川霧は姿を消し横田方面へと向かう途中、大沼郡金山町大字西谷字下川原から望む第五只見川橋梁が目に留まる。見事な写り込みに車を止め此処で撮影することにした。そういえばこの夏、此処でほぼ同じ構図で何度も撮っていたな‥と、ふと記憶が甦る。


残夏の軌道 ①」~ F10・SS1/250・ISO250 ~


残夏の軌道 ②」~ F10・SS1/250・ISO200 ~


車両は①が07:58頃通過する上り426D、②が08:18頃通過する下り423D。凡そ20分の間に上下便が往来する。朝の光が十分にあるため、前照灯の有無はさほど気にならず、当初は写り込みの良い方を選ぶつもりだった。併し②の423Dが通過する頃、水面に揺らぎが生じ始めた。そこで構図と焦点距離を変え、結果的に両方の画像をupすることにした。


涼しさの残る朝、行く夏を惜しむように蝉時雨が降り注ぐ。そして気付けば蜻蛉の姿が増えていた。詳しくは知らないが、蜻蛉は暑いうちは山に棲み、涼しくなると里へ下りてくると聞く。そのお陰か普段なら耳にする蚊の羽音も聞こえなかった。但し蜻蛉がレンズと被写体の間を飛び交うと、撮影には少々厄介な存在となる。


午後からは先週も撮った南会津郡只見町大字塩沢字上川原の会津塩沢駅へ行く。この一週間の間に多くの向日葵が咲いていたが、矢張り昨年と比べると寂しさが残る。それでも心に描いていたイメージを頼りに画作りしてみる。


過行く夏の片隅にて」~ F10・SS1/640・ISO160 ~


車両は14:50発上り430D。昨年は向日葵の背丈が高く、車両下部を覆うほどの迫力があった。 今年はご覧の通り、やや控えめな咲き具合。 そこで花に寄り添い密度感を意識した構図を試みる。 背景の空には程よく雲が浮かび引きのフレーミングも考えたが、 左右に余計な要素が入り込むため適度な距離感に留めた。


撮影後談という程ではないが、左下の向日葵が風に揺れてフレームアウトしてしまう。そこで左手でそっと押さえながら撮影した。所で首都圏色の430Dは朝に第五橋梁で撮った423Dが折り返してきたようだが、これは本来の車両運用ではない。おそらく、この週と来週の土日に運行する臨時列車に合わせての運用変更なのだろう。


続いて大沼郡金山町大字滝沢字新田へ向かう。何度も往来している場所だが、周辺の田んぼはおそらく早生種なのだろうか。田植えは遅かったのに既に穂が出始めている。六月に訪れた際には線路沿いの雑草が気になったが、ご覧の通り綺麗に除草されていた。


季の継ぎ目にて」~ F10・SS1/500・ISO200 ~


車両は15:58頃通過の下り427D。空には夏雲が浮かぶも、大地は少しずつ秋色に染まり始めている。陽射しはまだ強く夏の名残りを感じさせるが、吹く風には何処かよそよそしい涼しさがある。先週の撮影記では”行合の空”というタイトルを添えたが、空だけでなく色彩や風の中にも季節の継ぎ目が見え隠れし、秋の気配が静かに訪れ始めているようだった。


427Dの撮影を終え、夕刻まではまだ時間がある。そこで大塩炭酸温泉にゆっくりと浸かり、時を過ごすことにした。暑い夏の日、ぬるめのこの温泉はことのほか心地良い。


最後は第五只見川橋梁へ戻るが、立ち位置は朝と異なり国道252号線沿いの大沼郡金山町大字西谷字沖田 。今夏も何度か川霧の様子を撮影したが、山々を覆い尽くすような状態にはまだ出会えていない。 それは第五橋梁に限らず、大志集落を始めとする各橋梁でも同様で、 これから夏が終わるまでにその一瞬が訪れるだろうか‥。


落夏の様相」~ F6.3・SS1/100・ISO1000 ~


車両は18:49頃通過の上り434D。此処から撮るのは何ヶ月ぶりになるのだろう、空や川面の構成・比率などを忘れてしまった。それにしても日が短くなり、車両通過迄に露出がどんどん変わる。因みに夕刻のWBは5500k周辺で撮るのだが、この日は空模様により全体が茶系の独特の色合いに染まり4200k付近とした。


その空は赤紫に焼け、蒼く薄っすらと流れる川霧や山々の対比の中を上り最終列車が通り過ぎて行く。その様は幻想的であり焼け落ちて暮れ泥む夏の姿がそこにあった。約14分後には上り431Dが通過するが、更に暗さが募り撮影することなく目で愉しむことにした。


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