冬枯れと放射霧に包まれた会津平

M.Hermitage

20日(土)、11月末の撮り直しを行うべく奥会津に向かう。天気予報では晴れとのことだったが、会津平は秋冬特有の放射霧で車の運転も儘ならないほどの視界の悪さだった。その霧により撮り直しどころか、何処にカメラを据えるべきかさえ判断できない状況だった。

そんな霧に翻弄され下り始発便は撮り逃してしまい、大沼郡会津美里町米田字鴨田乙の桧ノ目踏切へ来てみた。放射霧が出る朝は霜が降り、大地は真っ白となり荒涼とした表情を見せる。霧は徐々に流れているが、背景の磐梯山や飯豊山は姿を現さなかった。


目覚めぬ朝の独奏曲」~ F8・SS1/200・ISO640 ~


車両は06:55頃通過の上り422D。深い霧の向こう、根岸駅からやって来る前照灯がぼんやりと浮かび上がる。やがて踏切の警報音が静寂を破ると、レールの鼓動が足元に伝わってくる。踏切は週末でも数台の車が行き交うが、この日は霧に閉ざされたまま、会津平を静かに列車が駆けて行く、そんな幻想的な朝だった。


次の便までは一時間以上あり、次第に視界は晴れてきたが、それでも磐梯山などの遠くを見通すことは出来ず、河沼郡会津坂下町大字船杉字南杉乙の杉第二踏切に来てみた。冬枯れの大地は殺風景でもあるが、線路沿いの草木が枯れるとそれまで見えなかった景観が望める。


煌めきのプロローグ」~ F10・SS1/800・ISO100 ~


車両は08:26頃通過の下り425D。白々とした背景と逆光の様に最初はボツかと思っていたものの、帰宅後に見直して補正を施す。週末は暖かくなるとのことだったが、太陽が昇ると霜は解けてキラキラと輝き出した。12月末となっては遅過ぎるが、まるで小春日和の始まりを告げるような、温かな光のプロローグであった。


午前中最後は河沼郡柳津町大字柳津字上村道上乙に向かう。冬枯れの景観は何処を切り取るべきか実に悩ましい。雑草が消え線路の輪郭ははっきりとしたが、今回は敢えて車両の配置をいつもと変えてみることにした。


刻と導」~ F10・SS1/200・ISO200 ~


車両は09:34頃通過の上り426D。普段はS字カーブを強調するため車両をその奥に置くが、今回は左からの射光を活かすべく手前に配した。光のコントラストと質感を際立たせるため、仕上げはモノクロを選択。


それにしてもこの日の午前中の車両、六両全てキハE120となり、2022年の再開通以前に戻ったような感じだった。とは云え、例えば「目覚めぬ朝の独奏曲」のようなシチュエーションの場合、デフォルトカラーのキハ110だと霧や雪に隠れてしまうこともある。


午後からは毎度の如く金山町横田方面へ向かう。画像のupは無いが、途中で中丸城跡や横田支所踏切周辺をロケハンする。中丸城跡では線路に立っての後追いスタイルになるだろう。


撮影は大沼郡金山町大字滝沢字三十苅の田沢踏切で行う。此処も冬枯れとなって見通しが効くようになり、踏切の間近に三脚をセットする。車両は14:56頃通過の上り430D。取り合えず撮るには撮ったがリサーチ不足の結果となった。折角の首都圏色車両だったが、枯れた山々と民家の相性がしっくりせず、次回は午前中に撮影を行ってみたい。

最後は大沼郡金山町大字横田字山根にて撮影する。いつもは白丸部から上り車両を撮るのだが、今回は赤矢印の会津横田駅を発する下り便を撮る。先述したように小春日和の日中は暖かったが、それでも北向き側の氷は解けず、日が傾き始め尚のこと寒さを感じ始める。


山眠る」~ F10・SS1/400・ISO800 ~


車両は15:52頃通過の下り427D。時折り聞こえる烏の鳴き声以外、生物の気配を全く感じなくなった。いや、もしかすると背後の山々では冬籠りを逸した熊が潜んでいるかも知れないが、今頃は夏から秋への季節以上に寂しさを感じる。ましてや雪に閉ざされば尚のことだが、春の到来を待ち侘びる灰色の日々が今年も始まったようだ。


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