新緑の只見線、揺らぎの撮影行
02日(土)、今年の春はどうも天候が安定しない。雨が降ると急に寒くなり、着るものも定まらない。昨日は冷たい雨が一日中降ったが、翌朝には晴れるとの天気予報に奥会津へ向かった。ところが猪苗代周辺からは雨風が強まり、予報は外れたかと思いながらも車を進めた。

本日の目的は、新緑の只見川への写り込みだった。併し雨は止まず、川面はどこも波立ち、昨日から降り続いた雨のせいで濁っていた。第一から第四までの各橋梁を見て回っていると、東の空に朝陽が射し、次第に雨も上がって行く。その状況から、この日の最初の目的地であった大沼郡三島町大字桧原字下三平、通称船着き場から第一只見川橋梁へ向かった。

「蛙がコロコロ鳴いてゐた」~ F10・SS1/250・ISO320 ~
車両は06:05頃通過の上り422D。現着時は他橋梁の状況が嘘のように、川面は穏やかで周囲の写り込みが美しかったのだが、鉄道風景アルアルで目の前の景観は持続することなく、車両通過前には風が吹き始め川面は大いに波立つ。
それでも徐々に落ち着きを取り戻し、完全ではないものの通過時は画像のような状態となり、未明時の悪天候を思えば上出来だ。先週撮った北側の山中と同様に鳥の囀りも聞こえていたが、此処では対岸から響く蛙の鳴き声の方が、より賑やかに耳に届いていた。

次の目的として第五只見川橋梁を考えていたが、再び風が強くなり、更には先週と同様の強い陽射しに、川面への写り込みといった当日の撮影目的を断念し、南会津郡只見町大字叶津字下稲田の叶津川橋梁へ向かった。
叶津川は流れがあるため写り込みとは無縁だが、矢張り雨の影響で水量が多く濁っていた。それでも川際に三脚を据えて通過を待っていたものの、なかなか列車が来ない。その間、強風で三脚が川に飛ばされそうになるなど危険を感じ撤収する。すると、10分ほど遅れて上り426Dが通過し、振り返りながら手持ちで撮影した。

撮影目的が浮かばぬまま戻る途中、大沼郡金山町大字越川字大川に立ち寄り、08:30頃通過の下り423Dを撮る。奥方面が会津越川駅で一昨年の今頃も撮った場所。初夏を思わせる景観は悪くはないが、後追いではなく、向かってくる様子を撮りたいポイントだ。

なかなか次の撮影地の見当がつかず、イメージも固まらぬまま金山町に着き、ふと大沼郡金山町大字大栗山字上下原の山中から下大牧集落を撮ることにした。いつもはちょっと上流の細越拱橋を望むポイントなのだが、此処に立つのは何年ぶりだろうか。
風が強く崖沿いは飛ばされそうなので、やや奥側に立つ。俯瞰で眺めていると分かるのだが、その風の強さはいつもは穏やかな只見川に白波が立つほどだった。

「山の端の風は軽やか」~ F10・SS1/500・ISO200 ~
車両は09:29頃通過の下り425D。荒れた川面を取り込まないよう、縦構図を選んだ。この時間帯になると徐々に陰日向が生じ始めるのだが、この時点ではまだその影響はなかった。タイトルとは異なり実際には強風が吹いていたものの、そのあたりは後から画像を見返した際の思い付きによるもので、ご了承を頂きたい。
所でこの数年は、五月に川霧が発生するなど季節の進みが年々早まっているが、こうして眺めてみると、緑はますます濃さを増し、まるで初夏のような気配さえ漂っている。春はいつの間にか過ぎ去り、気付けば季節がひとつ前へ滑り出してしまったかのようだ。

そう言えば最近、会津平の様子を見ていないな‥と、向かうことにしたが、時間的に、その途中で運行する風っこを大沼郡三島町大字桧原字下原乙の持奇橋梁で撮ることにした。桧原スノーシェッドの上に架かるこの橋梁、列車の姿が見えるのはほんの一瞬だ。

「光と緑のあわい」~ F10・SS1/400・ISO200 ~
車両は10:32頃通過の風っこ只見線満喫号、下り9427D。下り便は滝谷川橋梁を渡り、原谷トンネルを通過する。そのトンネルを出ると直ぐにこの持奇橋梁に差し掛かる。つまりトンネル内の走行音が聞こえるため、一瞬のことだが車両の接近には気付くだろう。
上り便の場合は右木陰から走行音が聞こえるが、画的には下り便の方が良いかも知れない。また午後にはその右側、及び左手前の木々が影になってしまい撮影の難易度が高くなる。

昼を挟んで会津平を見て周った。高田周辺では田んぼに水が入っていたが、根岸・新鶴はまだのようだった。蓋沼公園からも眺めてみたものの、見下ろした際の空気感がいまひとつで、大沼郡会津美里町米田字沢上乙へ向かうことにした。
背景には磐梯山、白矢印は根岸駅、赤矢印は会津村の会津慈母大観世音菩薩像になる。米沢の千歳サクラの近くで民家も多いが、この一帯は西側の山々から熊が多く出没するため、山沿いには長々と電気柵が設置されている。

「淡光の季」~ F10・SS1/800・ISO200 ~
車両は13:58頃通過の上り428D。線路沿いのススキに車両が見え隠れする様子などを把握するため、25分ほど前に通過した下り427Dで間合いを確認する。428Dは午前中に二度撮影した、首都圏色とデフォルトカラーのキハ110の編成であり、広い画角でも存在感が出るだろうと考え、車両に合わせた構図とした。
午後からの撮影はどうしても遠くの山々が霞んでしまい、抜けの良さに欠ける。次回は水田や黄金色の田んぼが広がる時期に、午前中の澄んだ光で撮ってみたい場所だ。また望遠を使えば右手の寺崎方面も撮影出来、構図の幅は更に広がるだろう。

この日の最後は、朝に訪れた叶津川橋梁の様子がどうにも気になり、再び只見町へ向かうことにした。水量に大きな変化はなかったものの、濁りは朝よりもだいぶ改善されたように見える。風はすっかり治まっていたが、今度は逆光が気になる状況だ。また朝のように川際へは降りず、築堤上から撮ることにした。

「只見、目覚める op.3」~ F10・SS1/250・ISO320・C-PL ~
車両は15:39頃通過の下り427D。逆光のため効果は期待していなかったが、C-PLを装着したところ、僅かながら川面の反射が抑えられた。また強い陽射しを避けるため、日傘を差しながらの撮影となった。
現像は川面と背景の明暗差や色調の補正に時間を割いた。普段は短時間で済ませてしまうレタッチだが、この画像は思いのほか手間が掛かった。併しながら逆光環境ゆえに色彩の抜けがどうしても芳しくなく、今回は暫定的な仕上がりとしてアップすることにした。
この日の撮影は出鼻を挫かれたとでも言うか、途中からの撮影変更にうまく立ち回れなかった。加えて車両の遅れが多発し、最後までテンポが掴めなかったような感じだ。
さて春の終わりは、毎年どこか落ち着かない。天気も光も風も此方の都合とは無関係に揺れ続ける。その揺らぎに翻弄されながら写り込みは叶わず、風にも逆光にも悩まされたが、季節が滑り出す瞬間に立ち会えたかのような気もしている。
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