昨年の写真
年明け恒例、自画自賛と自己満足の企画として、昨年撮り溜めた写真の中から数枚を選んでみた。毎年書いていることだが、選定基準は写真の出来栄えそのものではなく、撮影時の背景や、自分也の思い入れに重きを置いている。
撮影時は然程印象に残らなかったが、時を経て佳く見えてきたり、あるいはその逆もあったりと、一年を振り返れば「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と思う節が多々ある。

昨年の撮影記録を確認すると撮影日数は54日。そのうち42日は奥会津だった。例年は多くても10枚以内の選出だが、今回は15枚となった。それが良いのか悪いのかは分からないが、毎年のことながら、比率的には奥会津で撮った写真が12枚と、八割を占める結果となった。
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■01/04「そほふる雪の無人駅」~ F8・SS1/2.5・ISO640 ~
早戸駅05:50発の上り422D。この構図での撮影は何年ぶりだろうか、フラッシュを使っての画作りを行う。久しぶりだったのでレンズの焦点距離を忘れてしまい標準ズームをセットしたが、一旦車に戻って中望遠レンズに変更した。車両入線時には適度な降雪となり、且つ車両を避けるように雪が降り抜いてくれたことには、とても助けられた。
■01/17「彼誰時」~ F5.6・SS1/80・ISO800 ~
根岸駅06:32発の下り423D。左側の空には一部朝焼けが現れるも、それまでフレーミングすると収拾が附かなくなるので省くことにした。また無理に明るい設定とはせず、夜明け前のほぼ見た目通りの表現としてみた。車内には数人の乗客が確認できる。平日の凍えるような早朝に何処まで行くのか、いつものことだが画像越しに様々な想像やストーリーが膨らむ。
■02/03「朱」~ F8・SS1/320・ISO400 ~
会津西方駅に423Dが到着。キハ40が走行していた頃、同構図で何度か撮っていた。冬季は初めてとなり、線路脇の雑草などが全て雪に覆われ世界観がまるで異なる。やって来たのは首都圏色のキハ110。その車体と標識の朱色が雪景色にノスタルジックなイメージを醸し出した。昨冬は大雪で運転見合わせ期間が長引いたが、果たして今年はどうなるだろう。
■02/15「ぬぐい朝」~ F10・SS1/500・ISO200 ~
太陽が登りきる頃、一艘の釣り船が松川浦漁港を出港した。釣り人は乗っていないようだが、船は外洋に向かって進んでいく。夜明け前は風が吹き付けて寒かったのだが、気付けばだいぶ暖かい。陽光が顔を照らせば体感温度はさらに上昇する。太陽の力強さを感じるこの朝は、少しずつ三寒四温の季節がやって来る兆しだったのだろう。
■02/23「夜と闇の狭間に於いて」~ F14・SS15・ISO100 ~
いわき市岩間町の勿来IGCCパワー。薄暮時の空に青さが残る時間帯に撮った。アオリ補正でカットされることを意識し、広角レンズにて画作りをする。車の光跡具合や光の強さ、形状などは、やはり一台では足りない。二、三台が連なり、さらに対向車が来ないタイミングを待ち続け、寒空の下で時間を要した撮影となった。
■05/17「翠雨烟ル」~ F8・SS1/500・ISO500 ~
金山町横田にて只見線レトロ満喫号9425Dを撮影。景観もさることながら、この暗めの車体は近い立ち位置から、フロント部を主役に撮ることを意識していた。その結果、原風景に溶け込むような車両のレトロ感に手応えを感じた。更に代掻き前ではあるが田んぼに水が入り、降り続く雨が尚のこと風情を募らせてくれたように思う。
■07/19 「A Place Where Wings Awaken」~ F10・SS1/160・ISO200 ~
尻吹峠からの大志集落俯瞰。ホワイトアウトであっても雨模様でなければ何れ霧は流れる。言い換えると此処からの眺めは霧が流れ始め、更に陽光が射す前のタイミングが一番美しい。川面が穏やかで空や雲が一面に写り込んだ。その様は空間に浮いている山野の如く、ぽっかりと開いた大穴に下界の雲間が広がるといった錯覚さえ引き起こす。
■08/02 「夏の軌条」~ F10・SS1/400・ISO400 ~
三島町の宮下ダムと423D。川面は波立つことなく樹木や空の写り込みが美しい。もうちょい光が穏やかであれば、樹木の写り込みは更にくっきりしたと思う。度々書いているが、鉄道写真は川霧も然り、このような写り込みも列車の通過時が全てであり、その前後の景観が幾ら良くても満足する内容にはならない。
■08/02「ふるさとへの途」~ F8・SS1/500・ISO800 ~
金山町横田の私的定番ポイントと434D。もうちょいカッコ良い雲の形状を期待したがこればかりは致し方ない。当日の日没は18:46、山間なので太陽の姿は見えていないが、完全に沈めば更に見栄えする夕焼けとなったかも知れない。併しながら「夏の軌条」で述べたように、車両通過時の景観・状況が全てとなり、想いは次回撮影の糧となる。
■08/16「残夏の軌道」~ F10・SS1/250・ISO250 ~
盛夏の第五只見川橋梁と426D。春先から写り込みを目的として撮っていたが、この日の状態が一番良かった。出来れば新緑の頃に撮りたかったけれど、これはこれで満足できた。426Dの通過後、間を置かず423Dが通過するが、その頃には川面は揺らぎ生じ、僅かな時間で世界観が変わってしまう。その刹那が飽きずに通う原動力になっているのだろう。
■08/23「陽 咲」~ F8・SS1/250・ISO200 ~
郡山市湖南町の布引風の高原。モデルを伴って撮影する方が居り、「ご自由に撮られて良いです」とのことだった。私は離れた場所だったので望遠手持ちで切り取ってみた。何カットか撮ってみたけど、正直慣れないカテゴリーなので構図や配置など迷う点が多かった。尚、肌の色合いや光具合などなど必要に応じて補正する。
■09/20「物蔭に漫ろすだける虫の音や」~ F10・SS1/400・ISO200 ~
定期的に撮っている金山町横田の田園を行く423D。この場所は旧家と田園の様が私的な原風景にピッタリ当てはまり、更には単線鉄道が郷愁感を募らせる。会津平でこの首都圏色車両を撮り、その赤が色づく田んぼに映えるだろうと先回りして待っていた。電柱は家屋の陰に僅かに覗くが、電線は見当たらず昔々の光景、昭和が甦ったかのようだ。
■09/27「雷乃収声」~ F10・SS1/400・ISO640 ~
河沼郡柳津町、422Dが朝霧とそば畑を行く。背景の山々には少しずつ陽が射し霧は消え始めるが、これはこれで美しい景観だと思った。この時間となっても空気は冷え冷えとしており、厚手のジャンバーが必要なほどだった。タイトルのように暑かった夏は去り雷も収まる季節になってきたのだと改めて気付く。因みに時を経て佳作となった一枚。
■11/08「秋更くる朝」~ F8・SS1/160・ISO250 ~
定番の第一只見川橋梁、西側俯瞰を行く425D。見る角度や光の具合などが影響するのか、此処からの眺めはなかなか思い描く写り込みに出会えない。またいつも撮っている場所でもあり、最初は選に上がらなかったが、昨年は不作であった紅葉と比較し今年は美しい。それを踏まえて選んだのだが、昔々の秋はもっと鮮やかだった。
■12/07「静寂と余韻」~ F10・SS1/60・ISO500 ~
相馬市の文字島周辺にて撮影。夜明け間から釣り船が出港を始める。目の前を通り過ぎるので構図などを整えるが、撮影時刻は日の出の凡そ20分前、露出設定が間に合わずでは動体ブレが生じてしまった。潟湖である松川浦は穏やかであり、海でありながら長露光撮影を行っても停泊する船体にブレが生じにくい、それが魅力であり定期的に通っている。
■12/27「音サエ埋モル」~ F8・SS1/320・ISO400 ~
柳津町の福満虚空蔵菩薩裏を423Dが通過する。雪の朝は静まり返り、車両が近づく音や気配さえ全て雪に吸収される。線路の両端には桜の木があり、春には只見線とのコラボが撮れるポイントだが、冬は雪の華が美しい場所でもある。年末に撮った一枚だが、撮影記などを書いている内に一年の締め括りとして佳いのでは‥と、思えた。
以上、かつて撮った画像を眺めていると、様々な記憶が脳裏をよぎる。冒頭に記した撮影時の背景や思い入れを辿るうち、過ぎ去った日々が妙に懐かしく感じられる。おそらく今年も懲りずに、下手の横好きであちこち出掛けることになると思うが、ただ一つだけ「タイトルを付けたくなる、タイトルが浮かぶ」、そんな写真を撮ることだけは心掛けていたい。
