奥会津、梅雨兆すがの如く・・・午後の部
06日(土)、午後はこの日三度目となる車両運用番号KY302の撮影から始める。撮影地は柳津町の田園も良かったのだが、大沼郡三島町大字西方字居平からの第一只見川橋梁となる。

車両は13:03頃通過の上り428D。現着時は美しい写り込みを見せていたのだが、通過時にはご覧のような状態になり、更には陽光が射して思い描くような景観にはならなかった。思えばこの時間に此処で撮ることは滅多になく、結果として 自分の認識不足が出た形となった。

第一只見川橋梁を後にし、大沼郡金山町大字横田字上積田へ向かう。天候は幾らか回復したものの、風の冷たさは相変わらずで、陽が射してもシャツ一枚では肌寒い。いつもは丸印部周辺から第七只見川橋梁の間で撮るのだが、今回はちょっと視点を変えてみる。

「風光る op.2」~ F10・SS1/500・ISO200 ~
車両は15:02頃通過の上り430D。線路沿いの撮影で気を付けること、それはこれからの季節は特に雑草の存在だ。この画像では車両をもっと右側に置きたかったのだが、雑草で車両が隠れてしまう。これらについては事前に線路沿いの状態を確認することが重要、且つその際は標識の存在も同様に確認したい。
雲間から陽光が降り注ぐ半逆光状態ながら、その様子は心に響く美しい風景となっていた。遠く近くに聞こえる蛙の鳴き声は長閑に、そして足元の田んぼには光る雲が流れ行く。

「奥会津ヲ旅ス」~ F10・SS1/400・ISO200 ~
車両は15:53頃通過の下り427D。同じ地点から会津横田駅方面を向いて撮影。列車通過間際まで太陽が射したり雲に隠れたりと、直前まで露出が決まらなかったが、最終的には淡い光に包まれたフラットな状態となる。各橋梁のように華やかさや象徴性はないが、只見線の深層部と云える会津川口~只見間には日本の原風景がそのまま息づいている。
その風景に誘われ何度も訪れてしまうのだが、田んぼに浮かぶ雲の写り込みを眺めているだけで、胸の奥が静かに整うような、不思議な落ち着きがある。季節や天気によって表情を変えながらも、どこか変わらないものがそこにはあり、訪れる度に戻ってきたという感覚が甦る。


最後は大沼郡金山町大字本名字下村から夏井川橋梁を撮影する。これで本日四度目の運用番号KY302となる。熊注意の看板が目に入り、昨夏に訪れた際にあったかどうか記憶は曖昧だが、日没が近付く山間では、どこから現れてもおかしくない気配がある。まずは下画像、18:47分頃通過の上り434Dで構図の確認などを行う。

「暮色ノ行方」~ F5.6・SS1/160・ISO800 ~
車両は19:06頃通過の下り431D。434D通過から約18分、山に落ちる光は一段と弱まり、暗さがじわりと増す。SSは変えることなく、とは云え無理に明るい露出にはせず、至らぬ点は後の補正に委ねる。
まだ盛夏ではないため夜の虫は鳴かず、静寂が林の奥から迫ってくる。この時間帯の只見線には、昼間とは異なる深さがある。光が退き色が沈み、周囲の山々がゆっくりと存在感を増せば、列車の灯りがその静寂を僅かに切り裂き、またすぐに闇へと溶けて行く。
梅雨の兆しが漂うこの季節、只見線は今日も変わらず、併し確かに季節を運んでいた。帰路の途中、気温は高くないのだが、霧幻峡周辺では幽かに川霧が立ち、その気配に日中の光景が静かにほどける。例え思い描く光ではなくとも、そこに立ち、風を感じ、雲の流れを追い、列車の音を待つ時間そのものが、いつしか旅の核心になって行く。
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