桜から新緑へ 、春が加速する奥会津

M.Hermitage

18日(土)、先週の撮影で奥会津の桜は来週末が見頃になると予測した。そして一週間が経ち現地に向かった。到着はまだ暗い時間帯なのではっきりしなかったが、車内からはまだ咲き始めのように見受けられた。

最初の撮影予定である会津中川駅に行ってみれば、咲き始めどころか左側は既に葉桜となっていた。つまりこの一週間の間に終焉となったようだ。自然のことなのでこればかりは致し方なく、気持ちを切り替え次の目的である滝沢方面に向かうことにしたものの、会津中川駅の状況からその方面の花の状態が気になる。

訪れたのは会津大塩駅。駅の住所は大沼郡金山町大字滝沢字谷地向だが、撮影の立ち位置は字狐塚になる。気になる桜の状況は会津中川駅や会津川口駅周辺と異なり、此方への道中の途中でも今が盛りと咲いていた。早朝は冷え込んでいたものの、陽が昇ると次第に暖かくなり、グローブや襟巻は不要になった。


春の彼方は路の上」~ F10・SS1/400・ISO160 ~


車両は同駅07:35発の上り426D。車両到着前は秋空を思わせるウロコ雲が流れていたが、やがてその形状は変わる。写真は引き算と云われる。併しどうしても、目前のフキノトウをフレーミングしたい気持ちが先立った構図になった。


私が住む所ではフキノトウと桜は同時に咲かないが、奥会津の春は遅れを取り戻すかのように一気に進むのだろう。見渡せば所々に萌黄色の新緑も目に飛び込んでくる。周囲では小鳥の囀りが時として大袈裟なほどに耳に届き、生まれたての春朝の空気を胸いっぱい吸い込んだ。


続いて大沼郡金山町大字横田字上積田の会津横田駅へ向かう。昨年は大雪の影響でこの区間は長らく不通が続き、桜の季節を撮れなかった。 そう言えば二年ほど、15:52発の下り427Dから降りる一人の高校生を度々目にしていたが、この春には卒業したのかも知れないなぁ‥と、そんなことを思いながら、時の流れをふと感じた。


桜の駅より発つ」~ F10・SS1/320・ISO200 ~


車両は同駅08:39発の下り423D。構成的に単行の便を選んでいる。↓動画でご覧いただけるように、停車中はホームや標識、背景の家々などが入り込むため、車両が動き出してからシャッターを切っている。以前はもっと花のボリュームがあったように記憶しているが、絵柄としてはこれくらいの咲き方も悪くないと思う。


只見側の午前中の運行は以上で終わりになり川口へ戻る。周辺は先述したような葉桜ながら、大沼郡金山町大字川口字上井草村下から眺める大志集落は何とかなるのではと行ってみる。昨春までは更に奥へ進んだ場所から撮っていたが、現在は眼下の杉が視界を遮り、その位置からの構図は難しくなっている。


遅春の里」~ F10・SS1/400・ISO200 ~


車両は09:39頃通過の下り425D。だいぶ色褪せた八幡神社の桜は適度に補正している。この日は霞も無く、見通しの良い景観だった。因みに霞はあればあるでまた趣がある。何度も撮っているが、雪国の遅い春の到来を感じるこの眺めは、私的な奥会津のイメージそのものだ。


午後からは再び只見方面へ向かい、ロケハンを行いながら次の撮影場所の見当をつけ、その中から「春の彼方は路の上」を撮った住所と同じ大沼郡金山町大字滝沢字遠浅に車を停めた。積雪の状況によっては車の通行が出来なくなる場所だが、数本の桜並木が美しい。立ち位置の左側奥は会津大塩駅、桜並木の先は大塩第一踏切、踏切の手前を右折すると第七只見川橋梁。


下画像。風っこ只見線満喫号の運行があることをすっかり忘れており、急遽、13:14頃通過の上り9428Dを撮影する。風っこの車体自体にはあまり興味はなく、本命は約二時間後の定期便だが、この時の光の状態は最良だったように思う。


光の旋律」 ~ F10・SS1/640・ISO200 ~


車両は15:00頃通過の上り430D。この時間帯になると陽が傾き、陰日向は適宜修正している。今回は回避できたが、難しいのは車両の位置取りで、桜の幹と右側のカーブミラー内に収めなくてはならない。またその間に車が停まればアウトだ。


430Dの通過を待つ間、気温が上がり、木陰に停めた車の運転席と助手席の窓を開け放ち、シャツ一枚になって只見町のスーパーで買った弁当を食べる。ほんの一ヶ月前までこの辺りは雪に閉ざされていたが、ようやく春を身体で感じられたような気がする。


最後は事前に候補として考えておいた、南会津郡只見町大字蒲生字上ノ台、五礼橋からの撮影。視界には桜こそないものの、只見川沿いに芽吹く新緑の美しさに目が留る。それは清々しく、雪国の春が本当の意味で生まれ変わる瞬間を教えているようだった。尚、線路は八木沢スノーシェッドの上部、蒲生トンネルを出て直ぐの矢印部分。


只見、目覚める」 ~ F10・SS1/400・ISO200 ~


車両は16:12頃通過の下り427D。当初は空を入れない構図を想定していたが、陽が傾くに連れ下部に影が生じ、雲台を仰向きにして対応した。トンネルを出た直後には標識が立っており、それらを避ける車両位置を想定していたものの、リサーチ不足と云うか、現場確認に行けないと云うか、標識近くの小さな木が此方側に立っていることに気付かなかった。


そのため車両の一部が重なってしまったが、この程度であれば大きく気にするほどではないだろう。繰り返しになるが、雪国が一気に目覚めるこの時期、萌黄色の新緑はひと際美しい。それは次第に山々を染め、私が最も好きな季節がもう直ぐやって来る。


さて昨年と比べると、今年の県内の開花は凡そ一週間早かった。子供の頃、桜が咲くのは四月末から五月初めだった。それが今では四月初旬となり、私の住む地域でも入学式=桜というイメージが定着しつつある。開花が年々早まっているのは温暖化の影響もあると思うが、単純に考えて、五十年後には三月初旬に咲いてしまうのだろうか‥。


そうなれば季節感は今とは大きく異なり、生活様式も変わってくるだろう。それだけならまだしも、比較にならない規模の自然災害が増え、今を生きる子供たちにとっては生きづらい未来になるかも知れない。そんな事態を避けるために、今この時点で自分に何が出来るのか、ふと我が身を振り返ってみる。


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