奥会津、梅雨兆すがの如く・・・午前の部
06日(土)、週初めの台風一過から季節が逆戻りしたかのような寒さが続いている。この日は午前中が曇りの予報で、もしかするとイメージする一枚が撮れるのではないか‥と、そんな期待を抱きながら奥会津へ向かった。尚、今回の撮影記は、午前と午後の二部構成となる。
凡その撮影ポイントは決めてはいるものの、夏季はまず会津川口駅の川向いから滞泊列車の確認を行い、その時の天候を踏まえて判断をする。当日の始発便は今年初となる、キハ110東北色と首都圏色の二連となり、この車両運用番号KY302を軸に撮影地を選ぶことにした。

まずは先週、輝度差により撮れなかった大沼郡三島町大字宮下からの第三只見川橋梁へ向かう。朝陽夕陽は別儀だが、個人的に鉄道風景はちょっと青空を残すような、薄曇りや曇りの方が適していると思う。以前も書いたが、橋梁右側の樹木が覆い被さり、かつてのように橋梁全体を収める構図では撮れなくなってしまった。

「深谷ヲ駆ケル」~ F8・SS1/160・ISO640 ~
車両は05:54頃通過の上り422D。朝冷の深谷では今日もアカショウビンの鳴き声があちこちから耳へ届く。姿は見えないのに、あの澄んだ声だけが森の奥から湧き上がり、静かな時間の底をそっと叩いているようだった。↓動画には、その鳴き声のパートを少しだけ加えてみた。
やがてトンネルを抜ける鼓動が峡谷に響き始め、列車が姿を現す。その瞬間、ほんの一時だけ朝の静寂が溶けてゆき、その短い間に流れた空気の変化は、写ることのない奥会津の朝が確かにそこにあったことを教えてくれた。


続いて先週と同様に、大沼郡金山町大字西谷字下川原からの第五只見川橋梁へ向かう。先にイメージする一枚が撮れるのではないか‥と、記したのはこの場所のことだ。と言うのも、先週は陽光の下で撮ったのだが、その光具合は好みの状況ではなかった。またこれは個人の思い込みかも知れないが、曇りの方が水面は比較的に落ち着いて見える気がしている。
時系列は前後するが、下の画像は08:18頃通過の下り423D。光具合は申し分ないのだが、写り込みが乱れてしまった。毎度のことながら、鉄道風景あるあるで、通過の前後は見事な鏡面状態だった。

「静寂の継ぎ目」~ F8・SS1/160・ISO320 ~
07:58頃通過の上り426D。列車通過時の写り込みについて記したが、この画像は↓動画で確認できるように、橋梁通過前に汽笛が鳴った際は鏡面状態だったものの、それから僅か数秒間で乱れてしまった。
それでも先週upした画像とは比べ物にならないほどフラットな光線な描く景観は美しく、木々の葉も列車も瑞々しい。これからの季節は川霧が立つが、写り込みと同様に思い通りにならない撮影が続き、その度に後悔と次を求める静かな熱が入り混じる撮影記になりそうだ。

午前中最後は大沼郡金山町大字川口字中山、上井草橋にて撮影。曇天模様とまでにはならないが、やや雲の多い状態、且つ風が吹いて川面はご覧のような状況だ。この数週間、朝は寒くても次第に暑くなっていた奥会津だが、この日は気温が上がらず、走り梅雨の気配が所々に見え隠れする、ひんやりとした空気が漂っていた。

「水と鉄の譜」~ F10・SS1/400・ISO250 ~
車両は09:41頃通過の下り425D。二度目の運用番号KY302の撮影。曇りがちな空の下、色を吸い込んだような淡い光が車体にそっと降り、強い陽光では拾えない質感が静かに浮かび上がる。木々の葉の濃淡や鉄の肌理が柔らかく際立ち、水面が完全な鏡面でなくとも、この乱れが、梅雨の兆しを帯びた今日の奥会津をそのまま写し取っているようにも思えてくる。
午前の奥会津は、季節の揺らぎと水面の気まぐれに翻弄されながらも、静かな熱を帯びた時間だった。思い通りにならないからこそ、次の一枚を求める気持ちがまた静かに灯る。午後からは、三度目の運用番号KY302から撮影を始める予定だが、果たして午前の冷気と淡い光を引きずったまま、ゆっくりと午後の時間へ向かうことになるのか、それはまだ分からなかった。
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