弥生、光温む只見線と早春点描
01日(日)、漸うと三寒四温を繰り返し、弥生三月を迎えた。会津方面のライブカメラを見ると雪解けが進み、特に会津平では地表が露わになってきた。これからは本格的な春を迎えるまでの殺風景な季節となるが、あちこちの早春点描を繋げてみようと出掛けてみる。

最初は大沼郡会津美里町字大道端乙の宮川橋梁へ向かう。雪解け水が賑わう頃かと来てみたのだが、ちょっと早かったような気配だ。この一帯はライブカメラで見たように、僅かに軒下などに雪が残っているだけで、だいぶ春めいた景観だった。とは言え風は冷たく、まずは06:25頃通過の下り始発423Dを撮って様子を伺う。現在、県内の只見線は会津若松駅と只見駅間の折り返し運転になり、423Dは充当運転で二両編成となっていた。

「氷解けて去り葦は角ぐむ」~ F10・SS1/250・ISO400 ~
車両は07:01頃通過の上り426D。当日の会津方面は晴れの予報であったが、朝は東の空に厚い雲があり思い描く朝焼けにはならなかった。春の川は水温むごとに滔々と流れ行き、まだ目覚めぬ春を呼び起こすかの如く、「早春賦」の歌詞通り”氷解けて去り葦は角ぐむ”といった描写であった。
構図的に橋梁中央の樹木が矢張り邪魔となり、車両を何処に置くかと始発423Dで様子を伺った次第だが、今回は右側に置くことにした。本当なら川中に立ち、橋梁に近付いて撮るのが良いとは思うが、この日それは実行せずだった。

次は大沼郡会津美里町鶴野辺字押切甲の桧ノ目踏切周辺に立つ。田んぼや畦道の雪は消え、足先に伝わる柔らかな土の感触からも春を感じた。昨年、矢印部にあった物置が取り壊され実に残念でならない。その物置と列車のコラボはこれまで幾度も撮影しており、我が原風景の一つであったからだ。今回は丸印部の雀林踏切周辺を望遠で切り取る。

「温むとき」~ F10・SS1/640・ISO200 ~
車両は08:05頃通過の下り425D。輝くように射し込む春らしい陽光が美しい。その光は、殺風景な大地を繊細に写し撮るより、長閑で朗々としたイメージを創り出す。ついこの間まで雪に埋もれていた大地は、春の陽射しに温むときを迎え土の匂いが鼻を擽る。

「土脈潤起」~ F10・SS1/500・ISO200 ~
続いて下り側に向きを変え、桧ノ目踏切を撮り込む。車両は08:34頃通過の上り424D。昨年末は霜が降りた状態、春は只見線レトロ満喫号などを撮っている景観だが、何故か田んぼの土壌状態に惹かれる。寒ければ氷が張り、融ければ青空を映す。そんな四季折々の変化は、メインであるはずの列車以上に、大々的にカメラを向けてしまう。

午前中最後は、大沼郡会津美里町新沼尻にある通称高田カーブへ。田んぼでは白鳥が落ち穂を啄み、上空を飛び回っている。昨年の「三月末に撮った写真」には北帰行の姿が写り込んでいたが、そろそろ彼らも長旅の準備に暇を惜しまぬ季となったのだろう。

「早春の飯豊を背にして」~ F10・SS1/640・ISO160 ~
車両は10:11頃通過の上り426D。昨年の撮影記で再三書いたように、線路沿いのススキが伸び放題となっており、列車も隠れてしまうような状態だった。雪が解ければ幾らか改善されるかと来てみたのだが、御覧の通りの状況だ。この時期は地表が現れ、背景の飯豊山と相まって早春を感じさせる景観になるはずが、この状態では秋と言われても判断が付かない。
因みに線路がカーブする箇所に重なるススキを除去して撮影した。また線路脇のススキと比べ、手前側は極端に背丈が短い。ススキを除去する際に確認したが、よく見ると刈られた痕跡があり、おそらく撮影者が処理したのでは・・・と、思われる。


午後からは大沼郡金山町横田字山根へ足を向ける。振り返ると大雪の影響もあり、同地を訪れるのは01/10以来となる。上画像は熊野神社の鳥居と山中踏切。踏切は閉鎖されたままで向かいの道路へは渡れず、第七只見川橋梁脇の四季彩橋も雪の壁に遮られていた。
集落から山中踏切までは下画像のように除雪され、道路上の雪は無くなったが、脇には胸まで埋もれてしまいそうな雪が残る。そしてこの蔵を撮り込んで画作りをしてみる。昼過ぎてからは急激に暖かくなり、「北風と太陽」のように一枚また一枚と衣服を脱いでいた。

「早春点描 ①」~ F14・SS1/500・ISO160 ~
車両は15:02頃通過の上り430D。初の試みなので車両の位置など勝手が分からないままの撮影となった。蔵と車両まで距離があるために絞ってみたが、薄っすらと雲があって太陽の光芒も出ず、二段ほど開けても良かったと思う。
また完全な逆光となるため山陰や車両周辺は暗部になる。輝度差や色調の点では朝の時間帯の方が適しているかも知れないが、タイトルを意識すれば太陽の存在は矢張り大きい。

「早春点描 ②」~ F10・SS1/500・ISO125 ~
こちらは山中踏切側からの撮影。車両は15:53頃通過の下り427D。雪の表情が目に留まり、雪原を多く撮り込んでみた。427Dは通常二両編成なのだが、只見で折り返す運用で単行となっていた。そう言えばこの日はキハ110を全く目にしなかった。只見駅と大白川駅が運転見合わせとなり、首都圏色や東北色のラッピング車両は会津側にあったはずだが、磐越西線を経由して新潟側に行ったのだろうか・・・と、勝手に推測してみた。
春は何処ぞの旅人や、雪が降る地域に住む人にとって、三月という響きには特別な高揚感がある。明日にはまた北風が吹き、雪が舞うかも知れない。それでも、一度温んだ土の匂いを知ってしまえば、もう心は春へと走り出しているのだ。
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