Autumn Overture
07日(日)、三月以降只見線の撮影が続いていた。今頃はまだ夜明けが早く、黎明時に現地へ着くのは時間的に難があるのだが、久しぶりに海へ向かってみることにした。まずは相馬市岩子字坂脇の岩子漁港を目指す。併し矢張り景観は今ひとつ。


何度も撮っている場所だからか、この程度では満足できなくなってしまった。加えて今日は何故か気乗りしない。撮るという行為そのものが散漫になっており、その原因は後々になって分かることになる。下の画像は太陽が昇る前の松川浦大橋。雲が適度にないと、景観は凡庸になってしまう。長露光撮影なども試みたが、どうにも訴求力が定まらなかった。

そんなこんなで県道74号原町海老相馬線を南下。太陽が昇りかけた頃にはこんな景観にも出会った。 海沿いでは3.11以降に進められた護岸工事により、太陽光発電施設が広い面積を占めるようになった。 完成した堤防の上を一台のおそらく原付きが静かに通り過ぎていく光景は、もしかすると現代の福島の海辺を象徴する姿なのかも知れない。

「Habitual Titan」~ F10・SS1/320・ISO200 ~
相馬市蒲庭字舘前の県道からは、遠くに万葉の里風力発電所が望める。冬季には発電所の背後から太陽が昇り、タービンの足元からその共演を捉えてきた。今回は朝焼けに染まる空と田園の遠景を収めた一枚。もしタービンがなければ、特筆すべき景観とは言えないかも知れない。併し先述した太陽光発電施設と同様に、良くも悪くも“未来のかたち”が、こうして少しずつ風景に溶け込んでいるように感じられた。

いつもなら南下しいわき市方面へ向かうのだが、気分が乗らず一旦帰宅する。そして特に眠い訳ではないが仮眠を取ってから大沼郡会津美里町八木沢字七窪の蓋沼森林公園へ向かう。

「Autumn Overture ①」~ F10・SS1/640・ISO200 ~

「Autumn Overture ②」~ F8・SS1/640・ISO200 ~
車両は①が13:26頃通過の下り427D、②が13:56頃通過の上り428D。 結局のところ、何だかんだと言いながらこの日も只見線の撮影に足を運んでしまったが、 私にとって秋の始まりは、矢張りこの場所からの俯瞰に他ならない。 取り分け矢羽根形状の田んぼを捉えるなら、管理棟のある駐車場からの眺めが最も適している。
構図もタイトルも毎年ほぼ同じ。それを「変わらない」と言うべきか、「定点観測」と呼ぶべきか。 新たな試みをするでもなく、ただファインダーを覗くだけ。 それでもそこにある空気や色、音の気配が確かに秋の序章を告げている。但し当然ながら線路沿いの雑草の状態は毎年異なり、伸び方次第では車両下部が隠れてしまう箇所もある。

続いて大沼郡会津美里町鶴野辺字押切甲の桧ノ目踏周辺にて上り便を撮るのだが、頭を垂れる稲穂は、昨年の踏み潰されたような田んぼの様子が記憶に甦る。

「稲穂の譜(しらべ)」~ F10・SS1/400・ISO500 ~
車両は16:57頃通過の上り430D。夕刻に近付くに連れ曇り模様となる。併しながら灰色一色ではなく私的には好みの空具合。
この頃になるととめどなく鼻水が流れ始め、鼻にティッシュを詰めるようになる。周りには誰も居らず気にすることでないのだが、朝からの気怠さややる気が起きなかったのは風邪が原因だったのだろう。

次は同じ立ち位置から上り側を向き、矢印部を望遠にて下り便を撮影する。例年だと田んぼの近辺にはソバの花が見られるのだが、今秋はその姿が見当たらない。

「水始涸」~ F8・SS1/320・ISO640 ~
車両は17:26頃通過の下り431D。ソバは画像の田んぼと田んぼの間付近に植えられているのだが、今年は残念な景観となった。よく見ると疎らに白い花が咲いているが、これは自然に育ったソバなのだろうか。タイトルは十月第一週の七十二候。まだ早いながらも季節が前倒しで進んでいるように感じられる今日この頃。
次便も撮る予定だったが、鼻水が止まらず身体も火照るような感覚があり帰路につく。帰宅後から翌朝にかけて喉も痛み始め、休めぬまま絶不調の一週間が始まった。
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