只見線、冬の空は蒼く何処までも悲しい
10日(土)、明日の只見線は悪天候による運転見合わせが見込まれているようだが、三連休の初日は凍えるような寒さの中、抜けるような青空が広がる一日となった。

まずは大沼郡金山町大字川口字栗牧居平、会津川口駅の川向いポイントへ。昨年末にも訪れたが、此処での撮影がこの日の目的でもあった。 通常、島式ホームの川側に始発の422D、駅舎側に二便目の424Dが配置されるが、この日は両車両とも川側に並んでいた。
冬季は除雪車が駅舎側の線路を使用するためだろうか、こうした変則的な並びは、その都度フレーミングの妙を試されているようだ。424Dは単行車両なのだが二連となっており、明日の計画運行の充当車両になると思われる。

「起動する街」~ F10・SS10・ISO200 ~
本来なら始発の422Dがメインになるのだが、左端に配置されており今回は424Dにて画作りする。尚、424Dは07:06発。昨年末に撮った際は積雪が無く、街がフワッとした雪明りに包まれる風情には至らなかった。小雪が降っていれば尚のこと柔らかな印象になるのだが、機会があればまた撮ってみたい。
次第に川面が落ち着き、光の写り込みが美しく止まった。今回はエンジン始動時に間に合わなかったのだが、セルの回る音と共に、眠る街にジーゼルエンジンの始動音が響き渡る。その振動で街が起動する瞬間は、いつ立ち会っても感慨深いものだ。

先述したように久々の降雪のない奥会津の撮影となった訳だが、日の出の時間帯を考慮し大沼郡三島町大字名入字根岸居平へ向かう。国道400号線沿いに立ち、画像奥の会津西方駅を発する車両を待つ。朝焼けはなかなか佳かったが、果たして車両通過時にはどうなるか‥。

「凍 朝」~ F10・SS1/500・ISO200 ~
車両は07:27頃通過の下り423D。ピーク時の朝焼けは薄れつつあったが、雲の端にはまだ赤みが残っていた。それにしても寒い。会津川口駅での撮影もそうだったが、指先の感覚が無くなり息さえ凍りそうだった。新雪であれば背景の家屋や山々がいっそう美しかったと思うが、こればかりは如何ともし難く、積雪が増えるとガードレールが雪壁となりこの景観は撮れなくなってしまうこともあり、まずは撮れたことに感謝しよう。

423Dの通過から約12分後、上り424Dがやってくる。会津西方駅側から撮ってみたが、どうにもしっくりこない。撮影後、次便までの空き時間を利用し、寒さを凌ぐため近くの”道の駅 尾瀬街道みしま宿”で休息を取ることにした。

次便の時間を何故か勘違いし、慌てて第二只見川橋梁へと向かう。到着と同時に踏切が鳴り出し、会津西方駅には既に車両の姿があった。そんな慌ただしい状況下で09:06頃通過の下り425Dを辛うじて撮るが、撮ったに留まる結果となった。 新潟側からの上り426Dに仕切り直しを期待したが、残念ながら彼方の悪天候により運休となってしまった。

そんなこんなで午後の便も上記の第二只見川橋梁で撮ることにした。午前中の陽光は美しく西側の山々を照らしていたが、昼過ぎからは頭上にて煌々と降り注ぐ。

「凍て空を穿つ」~ F11・SS1/500・ISO100 ~
車両は13:00頃通過の上り428D。F11まで絞り込み、太陽の光芒を強調する。冬の太陽は低い位置から容赦なく光を投げかけ、真っさらな雪面は巨大なレフ板と化し、露出の判断を迷わせる。併しこの刺すような光こそが、厳しい冬の美しさそのものだ。
冬の空は蒼い、何やら悲しくなりそうな程に蒼い。通過後、再び訪れる静けさ。そこには車両が残していった微かな空気の揺らぎと、どこまでも冷たい冬の蒼すぎる空への寂寥感が広がっているだけだった。

426Dは運休になったものの、その後の只見方面の車両は定時で運行しているとのことに、大沼郡金山町大字横田字山根へ向かう。向うに連れ雪深くなり、前回撮影時には通れた道も今は雪に閉ざされ、此処から遠くの第七只見川橋梁、ないし雪原を撮る。

「雪原の律」~ F10・SS1/320・ISO100 ~
車両は15:01頃通過の上り430D。蒼い空の元、傾きかけた陽光が、雪面に長い影のストライプを描き出している。それはまるで厳しい冬の静寂の中にだけ現れる、自然の五線譜のようでもあり、そのコントラストの美しさに息をのむ。その上をキハE120のカラフルな車体が、軽やかなリズムを刻みながら横切って往く。

最後は大沼郡金山町大字本名字下村からの夏井川橋梁。とは云え、此方側から橋梁は僅かにしか見えない。15:34頃通過の下り427Dを撮るのだが、この場所は時間帯や光の条件からして、やはり朝の撮影が適しているようだ。
最後のシャッターを切りカメラをバッグに収めると、指先の感覚が完全になくなっていることに気付く。 帰路の車窓からはあんなに蒼かった空が、今は深い藍色へと溶け込もうとしている。ヒーターの温もりが凍えた体に染み渡る中、脳裏に浮かぶのは雪原に伸びた長い影の律動、 奥会津の冬は厳しく残酷なほどに美しい‥。
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