朝冷に春が息づく奥会津
25日(土)、今年の桜は早かった。となれば新緑も早いだろうと出掛けたのだが、桜が散ってからは寒い日が続き、今朝は霜が降りて道中の田畑は白くなっていた。余談だが、昨年の撮影記を読み返すと、奥会津の桜は四月の最終週が見頃だった。

最初の予定は、大沼郡三島町大字西方字居平からの第一只見川橋梁。先月末に撮った際は、まだ山眠る状態ながら山霧が佳い具合に流れていた。度々書いているが、左側のツタがまとわりついた杉の木、これがなければ構図の自由度が広がるだけに、その存在がどうにも惜しい。

「微睡に凍れる萌芽」~ F8・SS1/200・ISO200 ~
車両は06:05通過の上り422D。生まれたての緑に朝陽が射し始め、その色彩はこの時期にしか見られない。広報無線の時報に続き、お寺の鐘が耳に届く。間もなくそれらを合図に踏切の警報音が聞こえ、ガタゴトガタゴトとゆっくり車両が姿を現す。
風はなく川面は終始穏やかだったが、先述したように空気は冷ややかで寒い。とは言え真冬とは異なるものの、漸く身体に春の暖かさを上書きしたばかりの私には堪える。そんな空気感もあり、タイトルには“凍れる”の語を用いた。

次の予定は第五只見川橋梁なのだが、車両通過まで時間があり会津川口駅に行ってみる。そして停車する二便目の上り車両を確認し、撮影地を大沼郡金山町大字中川字荻付に決めた。昨秋も撮った場所だが、枝がだいぶ伸びて線路を覆っていた。

「春光の底」~ F10・SS1/320・ISO500 ~
車両は07:12通過の上り424D。線路の視認性は良くないが、単行東北色の存在感が活かせるのではと、この場所を選んだ。また、朝の日向と日陰の温度差が残る景観にも惹かれた。立ち位置は昨秋開通した町道中川大栗山線。以前はこの道路に面した東側の斜面を登ると中川集落と只見線が望めたが、年数が経ち眼下の杉や樹木が景観を遮ってしまったようだ。


424D撮影後、大沼郡金山町大字西谷字下川原の第五只見川橋梁へ向かうが、此処はちょっと早かったか、背景の山々はまだ冴えない。写り込みは良いものの、天候が良すぎてコントラストが高く、私的な感覚・イメージとは異なる。
上画像は07:58通過の上り426D。補正無しの撮って出し。下画像は08:18通過の下り423D。上部の電線を消去し、僅かに明暗の補正を施している。来週辺りは景観が変わってくると思うが、機会を見てまた撮影したい。

第五只見川橋梁を後にし只見町方面へ向かう。只見川沿いなどを見て回るが、先週も撮った、南会津郡只見町大字蒲生字五礼の五礼橋上から叶津川橋梁を望む。

「只見、目覚める op.2」~ F10・SS1/400・ISO160 ~
車両は第五只見川橋梁で撮った下り423D、通過は09:02。背景の山の緑が揃っておらず、そして右側の雪山とのバランスなど、焦点が定まらない内容になってしまった。撮り直したいのだが、山の緑が揃えば只見川沿いからなど、別の角度から撮ってみたい構図も浮かんでいる。

午前中の只見側は423Dで運行が終わるため、来月末までの週末に運行している風っこ只見線満喫号の撮影を行う。とは云いながら、返す返す天候が良過ぎて光が強く、個人的には避けたいシチュエーション。従って撮ったことのない場所でロケハンを兼ねての撮影になる。
まずは南会津郡只見町大字蒲生字上蒲生の墓地踏切周辺。車両は11:46通過の下り9425D。遅咲きの枝垂れ桜が満開となっており、その桜を配してのフレーミング。この踏切では何度か撮っているが、此方側からのフレーミングが初となる。線路沿いの施設と桜の間に車両が収まるか否か、それを確認したかったのだが、これは二連より単行の方が良さそうだ。

続いては大沼郡金山町大字滝沢字宮前、車両は13:12通過の上り9430D。此処では手前に墓守りの八重桜を置き、石仏と左端の踏切の間に二連車両が収まるかを確かめる構図を試したのだが、先の9425Dと同様、此処でも単行の方が適していた。
以上、二ヶ所を実験的に撮ってみた結果、何れも単行、加えて適した天候の良し悪しなどが分かり、この先の撮影に向けて得られたデータは大きい。

最後は今程の9430Dを大沼郡三島町大字名入字上居平の第二只見川橋梁で撮ることにした。相変わらず陽光は降り注ぎ、橋梁と列車を正面ないし横からストレートに捉える構成ではなく、第二野沢街道踏切の遮断機間際に立ち、周囲の樹木を緑のトンネルに見立てたフレーミングを試みた。この時は数人のカメラマンが居り、私の立ち位置を不思議そうに見ていた。

「A Breeze Through Green」 ~ F10・SS1/500・ISO200 ~
車両は14:33通過。七分ほど前に下り427Dが通過し、その際に凡その検討を付けたが、この立ち位置からだと標識のポールや木々が視界を遮り、車両を置けるポイントは画像のようにごく限られてしまう。それでも、周囲の樹木が強い光を程よく遮ってくれたおかげで、緑の深さが素直に出てくれたのは幸いだった。願わくば車両上に重なる枝がなければ更に良かったのだが、こればかりは自然相手ゆえ致し方ない。
予定としては会津平での撮影も考えていたが、昼前には気温が急上昇しシャツを袖まくりするなど、朝との気温差に些かぐったりし帰ることにした。でもそれは気温差以上に、02:30起床が一番の原因と分かってはいるけれど、夏に向かっての只見線撮影は毎度そうなる。
さて春の気配と冬の名残が交錯する一日だったが、季節の境目にしか現れない光と空気を追いかける撮影は、やはり心を揺さぶる。次に訪れる時、山の緑はどんな表情を見せてくれるだろうか、奥会津の新緑は息を呑むように美しい。
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