空もしづかに流るころ...
18日(土)、朝に所要があり、昼前の出発となった。奥会津では週明けの13日、大雨となり只見線は運休が相次いだ。翌14日も運休や遅延が続いたが、大雨により水温が下がったのか、最近にない川霧の大発生となったようだ。更に週末の17日には車両故障により、翌18日にかけて運休や遅延が生じた。
午後からの撮影となる今回は、大雨による只見川の影響も気にしながら現地へ向かったが、着いてみれば曇りの予報に反したギラギラの陽光に、撮る気は既に萎えていた。尚、只見川の水面には濁りがなく、水位も平常に戻っていた。

この画像は、大沼郡金山町大字滝沢字下林の四季彩橋上から第七只見川橋梁を撮ったもの。車両は15:00通過の上り430D。萎えた気持ちのままシャッターを切っても、ただ時間だけが過ぎ、何を写したいのかさえ定まらなかった。

此方は大沼郡金山町大字横田字山根、山中踏切での撮影。車両は15:53通過の下り427D。二枚ともコントラストが高く、橋梁下部や車両の影には大きな輝度差が生じた。自分が求めるフラットな光の景観とは異なり、午後の強い陽射しが画面全体の均質性を奪っている。
それにしても暑い。只見川沿い特有の湿度も加わり、車内エアコンの設定温度を18℃、ファンを最大にしても身体がなかなか冷えないが、その高湿度に期待を抱きつつ、大沼郡金山町大字西谷字沖田、国道252号線沿いから第五只見川橋梁へ向かった。

昼頃にこの場所を通った際には、薄く霧が残っていた。この画像は18:10頃に撮ったものだが、列車が通過する約40分後にはどう変わっているだろうか、良い方向へ向かうことを願うばかりだった。それにしても空気が重い。海でもないのに肌はべたつき、レンズのズームリングさえも重く感じるほどの湿度だった。

「空もしづかに流るころ #1」~ F8・SS1/125・ISO500 ~

「空もしづかに流るころ #2」~ F5・SS1/125・ISO640 ~
車両は#1が18:49通過の上り434D、#2が19:04通過の下り431D。当初は上下便ごとに画角を変えるつもりでいたが、背景の空の色や川霧の立ち方を考慮し、結局どちらも同じ画角で撮ることにした。#1では列車通過前まで川面が霧に覆われていたものの、通過時には写り込む部分の霧が薄くなった。それでも列車はぎりぎり途切れることなくフレームに収まった。
434Dが通過する頃、賑やかな蜩の声が響きにふと「ひぐらしや 空もしづかに 流るころ」と、一句浮かんだように、静かに静かに、そしてゆっくりと奥会津の夜が降りてくる。夏至から凡そ一ヶ月が過ぎ、これからは思う以上に日の落ちるのが早くなる。それ迄にまたこの場所で、たゆたう川霧の夜を迎えたいものだ。
この地を後にし帰路へ就いた。途中の大志集落では見られなかったが、第四・第三只見川橋梁、そして霧幻峡周辺では川霧が立ち、列車を待つ人々の姿もあった。何処かに車を停めようかとも思ったが、列車通過の時刻が迫り、先の大沼郡三島町名入字上居平、国道400号線沿いからの第二只見川橋梁まで車を進めた。

「Whispering Night」~ F2.8・SS1/60・ISO1000 ~
車両は「空もしづかに流るころ #1」で撮影した上り434D、通過は19:38。この場所では川霧が立っておらず、橋梁に近付いた立ち位置とした。夜になると橋梁を通過する車窓の灯りが川面に写ることは既知だったので、むしろ霧が立っていないことで、その光が素直に届いたのかも知れない。
普段は列車通過直前に画角の確認とピントの合わせ直しを行うが、暗さでAFが迷うことを予測し、ピントが合った時点の構図のまま待機した。また、いつものように無理に明るい露出にはせず、僅かに青を残す空と列車の灯りだけを暗さの中に残すようにした。
さて午後からの撮影は当然ながらupする枚数は少なくなり、文中でも触れたように、ギラギラした陽光の下では思うように撮れず尚更だ。その暑さや状況を避け、朝と夕方だけを撮るという方法もあるにはあるが、地元に住んでいるなら兎も角、そうした時間帯に合わせるのはなかなか難しい。とは云え、思うように撮れない日でさえ、奥会津の景色には何かしらの気配が残り、夜の橋梁を渡る列車の灯りが、一日の終わりに静かな余韻を添えてくれた。
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