神々の降臨

今宵は少々オカルトティックなお話を‥それは私がまだ小学三年生の頃だったか、裏庭で友達と遊んでいた幼稚園児の弟が血相を変え部屋にいた私を呼びに来た。


「裏の神社に白い着物を着た女の人が立っている‥」


当時住んでいた家の裏山は蛇が多く棲息する鬱蒼とした小高い山林になっており、その頂上には神社が祀られていた。幼少の頃に聞かされた話によると奈良の薬師如来の流れを汲む目の神様と云われ、ご神体は女性で薬師様が訛って”やぐっしゃま”と呼ばれていた。


怖いもの見たさの私達が神社への長い階段を登り目にしたものは、弟らが女性を目撃した傍にそびえる苔むした老桜の枝分かれした幹にとぐろを巻く青大将であった。

それは今まで見たことのない、いや、TVや動物園では見たことのあるニシキヘビといっても差し支えない程の威圧感を漂わせる大蛇であり、傾く夕陽に反射する銀色の鱗の輝きが鮮やかな記憶として今でも甦る。


もう一つこの神社の言い伝えがある。それは神の使いは蛇だと云うことだが、弟らが見た女性と私も含め目撃した銀色に輝く大蛇は一体何だったのか。今になれば夢幻のような話しだが、この後それ迄に経験したこのない気配や物体を感じるようになった。