福島の桜は終わらない...

福島県は温暖な太平洋に面したいわき地方、そして雪深い会津地方と東西で気候が全く異なる。それに伴い長期間に渡り桜を楽しめる土地柄だったが、記録的な開花の早さとなった今年の桜は各地方とも一気に咲いてあっという間に終焉を迎えたようだ。


例年であれば五月初旬、GW後半の頃となっても耶麻郡猪苗代町”観音寺川の桜”や耶麻郡北塩原村”桜峠”、そして南会津郡下郷町”戸赤の山桜”などなど、福島の桜はまだまだ終わることがなかった。何年前だったか五月末に奥会津の山中で咲く桜を見たこともあったが、今回は以前撮ったGW後半の頃の画像を三枚ほどupします。


ふさふさとたゆたう峠山笑ふ」~ F10・SS1/60・ISO200・C-PL ~


一枚目は耶麻郡北塩原村大字大塩字桜峠。撮影は2017/05/05、撮影記は「耶麻郡北塩原村 桜峠+etc」です。今年の見頃はこの年からすると20日ほど早い四月中旬だったとのことだが、こんなに違うと撮影する側も催しものなどを主催する側も予定が立たないだろうなぁ‥と、他人事ながら気を揉んでしまいます。


撮影記には前日朝に三分咲き、夕方には七分咲きとなり当日は散り始めたと記したように、おそらく山間部の寒暖差などが影響するのか此処の山桜は満開状態の時間がとても短い。


upした画像は昼頃撮影、これといった特徴は無いかも知れません。併しタイトルでも明記したようにふさふさと花が揺れ、その鼓動が春の息吹となって目の前の山々が笑っているような感覚になります。そんな景色と相俟って遠くの残雪と頬を撫でる暖かい風に、春の女神は本当い存在しているのかなどと、年甲斐もなくロマンティックなことを想います。


因みにおそらく整地して桜を増やす計画だと思いますが、昨年は右奥の山々が崩されていました。また年々画像を見下ろす足元の雑木が伸び、景観が損なわれているように感じます。


隠れ里立夏の朝日届かざる」~ F10・SS1/10・ISO320・C-PL ~


二枚目はいわき市田人町石住字綱木、平子氏宅のクマガイソウです。撮影は2017/05/12、撮影記は「いわき市田人町 クマガイソウ群生地」。この年から毎年通っていましたが、2020年と2021年はコロナ渦により閉園。昨年の2022年は三年ぶりの開園予定だったが、平子氏宅が火災になり見送りとなりました。ネットの情報に拠れば今年は開園し、見頃は例年よりやや早い05/05頃とのことです。尚、当地へは車一台しか通れない細く見通しの悪い山道になります。途中に明確な退避所はなく、呉々も運転には細心の注意が必要です。


群生するクマガイソウに見つめられると、何かを語り掛けられているような感覚になり、耳を傾けてしまいます。そのイメージを表現したいといつも思っていますが、なかなか上手く行きません。クマガイソウを接写すると仄かな赤色を表現出来るが、群生する様を風景的に撮るとその色合いは希薄になり、どうしても補正が必要になると思います。但しその度合いが強すぎるとわざとらしい内容になってしまいます。


またこの画像での杉木立奥側は周回可能なので、見物する人々が途絶えないこともあります。従って人物を省くには長露光で撮る、修正するなどの方法も必要になります。尚撮影時はモノクロでupしていましたが、今回の再現像では原色に戻しました。


2019年に訪れた際、上画像のように左側の山が伐採されていました。山の所有者が木を売却したとのことだが、晴れるとその部分が明るくなってしまい、神秘性が損なわれてしまったように思います。また自然のことなので致し方ないが、足元の花数が少ないとフレーミングが難しいなどなど、構図的に色々と思案することが多々あります。


日のあたる色となりゆく山ざくら ①」~ F11・SS1/80・ISO200 ~


日のあたる色となりゆく山ざくら ②」~ F10・SS1/200・ISO200 ~


最後は南会津郡下郷町大字戸赤字林下"戸赤の山桜"です。撮影は2020/05/03、撮影記は「ひっそりと満開を迎えた戸赤の山桜」。戸赤の山桜は子孫の春の楽しみに植えられたと聞くが、もし寿命で枯れた際はどうするのか、新しく植えるのかなどなど守り続けることはとても大変なことだと思います。


今年は四月下旬が見頃となったようですが、私的に撮影が難しい場所のひとつでもあり、夜明け前や夕暮れに撮ったものの、ネットで見るようなカッコ良い写真には程遠いです。


当日の撮影は①が05:34頃、②は06:06頃になります。①は朝陽が射し込む時間帯であるが朝靄が残りはっきりしません。とはいえ、そのはっきりしない明暗もまた良いかとupしました。立ち位置は山桜が咲く斜面の向かい側、廃校を利用した”戸赤自然体験あそびの学校やまざくら”駐車場からです。


更に陽射しが強くなった②は東側、県道346号戸赤栄富線から撮影。何れも2020/05/03に撮った画像の別カットとなり、特に①は大差ないように見えるが光の入り方や靄の具合が微妙に違っていたりする‥と、いうか撮った本人しか分からない違いだったりします。


ところでタイトルですが、以前ネット上で見た句です。戸赤の山桜にピッタリだとメモしておいたのだが作者が不明です。従って無断使用状態であり、ご存じの方がおられましたら是非ご一報をお願いします。


最後に↓動画をupしましたが、「140503 南会津郡下郷町 戸赤の山桜」と「160424 耶麻郡北塩原村 桜峠」の二つは今回の記事の撮影日時と異なります。


@タイトルをクリックするとフォト蔵の大きな画像(別窓)が開きます。