相馬市日下石 百尺観音

国道六号線、相馬付近を通る度、子供の頃に訪れた高根沢の百尺観音を思い出す。当時は六号線からの入り口にドライブインがあり、更には見物に訪れる人も多くいて賑やかだった記憶があるが、今やその面影もなくやや朽ちた感のある未完の磨崖仏が鎮座している。

場所は相馬市日下石字高根沢686、境内には参拝のしおりなる案内板が立っているが、それさえ文字が薄れて読めない状態となっており、要約すれば下記のようなことが書かれている。


明治35年生まれの荒嘉明氏は23歳からの6年間、全国の寺社や史跡を訪ね歩き、千体の仏像を作るよりも生涯一仏一体の巨大像を作ろうと決意し昭和6年建立に着手。以後困苦欠乏に耐え製作に専念したが、昭和38年完成を見ずして62才で逝去した。
その後、二代目となる保彦氏が後を継ぐが昭和53年、53才にて逝去し、現在は三代目の嘉道氏が継承及び管理を行っている(最近、四代目の陽之輔氏になったとも伝わる)。

下部には手付かずの二段の台座があり、おそらく腰や膝周り、そして蓮台などを創作する予定だと想像するが、現実的に何処からも援助がなく、個人の力でこれだけ大きなものを製作することは難しい。
完成すれば現在の八十八尺が百十八尺の高さとなるようだが、初代が楔を入れてから流れた84年の歳月を思えば、訪れる度に何とかならぬものかと願うばかりだ。