南相馬市鹿島区 奇跡の一本松

南相馬市鹿島区南右田字谷地地内には3.11の大津波に耐え、奇跡的に一本だけ残った松がある。嘗てこの南右田地区には数万本の松の木による保安林があった。昔々の記憶では松林の中のキャンプ場と民家、そして周囲に広がる田んぼの光景が甦るが、現在は防波堤の復旧工事が行われ荒涼とした大地が広がる

松林は津波によってその殆どが倒壊。残った十数本は枯死と診断されながらも、その中の一本だけは新芽が育ち今現在も生きている。とはいえ、かなり弱々しく見えてしまうのだが、地元有志の”一本松を守る会”によって保護されている。

陸前高田のモニュメントや女川町の震災遺構保存計画などなど、見る度に震災=辛苦を思い出してしまう人、方や新たな勇気を抱く人と各々に感じ方が異なる。
愚生はそれらについて良し悪しを述べる立場にないが、全てはタイミングとバランスの問題のようにも思える。例えば多額の費用が投じられたこととなり、保存の是非を巡っては賛否両論が巻き起こった先述の陸前高田のように、個人的には正直なところ時期尚早という気持ちがあった。


言い方を変えるというか、極端な言い分になるがいわき市や双相地区に出向けば今現在、沿岸は護岸工事の真っ只中であり、汚染された地域は未だ3.11のままの光景がある。
そのような現状にあり、復興の名の元のオリンピック開催は誠に非常にタイミングとバランスが悪いのではなかろうか。オリンピック開催の費用と労力、そして復興の費用と労力の何れをも同時に調達することは、正に二兎を追う者~の格言通り財政は困窮、従って増税すれば尚のこと復興は遅れる‥と、松の話しがオリンピックまで飛躍、収拾が付かなくなるからこの辺りで止めよう。