只見線、季節の境を歩む日・・・午後の部
05日(土)、午後の部。午後からは大沼郡会津美里町八木沢字七窪の蓋沼森林公園での撮影から始める。頻繁に訪れていた場所だが、撮影を行うのは今年初だと思う。到着時は一人だったが、列車の通過に合わせ、色付く田んぼを求め徐々に車がやって来た。

秋の会津平は管理棟のある南側から撮ることが多い。所でもう忘れかけているのだが、一昨年だったか昨年だったか、北側の「台東区記念の森」駐車場で熊を目撃した。撮影から戻ると私の車付近をウロウロしており、大声で威嚇したことがあった。

「Autumn Overture #1」~ F10・SS1/500・ISO200 ~

「Autumn Overture #2」~ F10・SS1/800・ISO200 ~
車両は#1が13:26通過の下り427D。#2は13:55通過の上り428D。この日の天候は遠景の俯瞰撮影に適していた。気温・湿度とも高くなく、適度に吹く風のおかげで大気の揺らぎも少なかったようだ。
秋の蓋沼森林公園からの撮影は、構図もタイトルも毎年ほぼ同じで、それを「変わらない」と言うべきか、「定点観測」と呼ぶべきか。新たな試みをするでもなく、ただファインダーを覗くだけ。それでもそこにある空気や色、音の気配が、確かに秋の序章を告げている。
ただ当然ながら線路沿いの雑草の状態は毎年異なり、伸び方次第では車両下部が隠れてしまう箇所もある。特に今回は#1でそれが顕著で、ファインダー越しに車両が隠れない位置を探りながらの撮影となった。


撮影を終え、思うところがあって再び横田方面へ戻る。時間的に会津横田駅15:02発の430Dには間に合いそうになく、次の下り便からの撮影になる。画像は会津大塩駅近くの大沼郡金山町大字滝沢字荻ノ瀬だが、一部の田んぼが昨年から作付けされなくなった。そして今年はソバ畑に様変わりし、先々週辺りから気にかけていた。
下画像の車両は15:57通過の下り427D。会津大塩駅を発した車両は徐々に下り坂に差し掛かる。線路脇に生い茂る雑草もあり、試し撮りの意味合いが強い内容。と云うより、陽射しが強くて次回へのロケハンのつもりだったのだが、夕暮れにまた此処に寄ることになった。因みに画像の左側にはもっと沢山の白い花が咲いていた。

続いて叶津川橋梁の撮影へ向かう。気が付くと、この日初めてで最後の橋梁撮影となった。立ち位置は南会津郡只見町大字叶津字下稲田になる。橋長のある叶津川橋梁ではあるが、今回は民家を取り込む構成とし、橋梁は一部分だけを切り取ることにした。

「暮色ヲ渡ル」~ F6.3・SS1/160・ISO500 ~
車両は18:06通過の上り434D。会津平から戻った理由はこの写真を撮るためだった。昨夏も撮っているのだが、橋梁下の樹木が伐採されていたり、民家の庭先が畑へと変わっていたりと、定期的に見ていないと気付かない変化がある。当日の日の入りは通過時刻とほぼ同じ18:02。まだ暗さはそれほどなく、肉眼に近い明るさに調整した。
撮影を終えた帰路の途中、第八只見川橋梁で今程の434Dに並んだ。ふと「これはもしかして」とイメージが浮かび、間に合うか否か先程のソバ畑に先回りすることにした。

「白露夜の向こう側」~ F4・SS1/125・ISO800 ~
車両は18:24の通過。動画の準備までは出来なかったが、何とか間に合った。午前の部で書いた始発便422Dと同じく、この便でも乗客の姿は見えない。終点の会津若松駅はまだ遠く、途中から乗る人はいるのだろうか‥。ふとそんなことを想わせる静かな空気が流れていた。
夕暮れの奥会津は僅かに肌寒く、白露の気配が滲むように、車両の灯りと周囲の影がゆっくりと溶け合っていく。その薄い冷たさの中で、乗客の不在がより際立ち、秋へ向かう夜の入口がそっと広がっていた。
一日の撮影を振り返り、朝夕に触れた秋へと繋がる冷ややかな空気感、そして日中の夏の名残りを思わせる陽光は、まるで二つの季節が同居しているかようだった。奥会津の山影に沿って流れる風は、時間帯によってその表情を変え、その二つの気配がゆっくりと重なり合い、光と影の境目に秋の層が静かに立ち上がっていくのが感じられた。
@画像タイトルをクリックするとフォト蔵の大きな画像(別窓)が開きます。