只見線、季節の境を歩む日・・・午前の部
05日(土)、幾度も書いているが、今夏は本当に雨が多い。それに伴い各地で災害も起きており、毎年その被害は大きくなっているように思う。振り返れば東日本大震災の津波以降、水の災害が頻発しているように感じるのは私だけだろうか。
この日の予報は雨が降り続く週末から週明けの間に、ようやく訪れた貴重な晴れ間となり、先週撮れなかったポイント、そしてこの日でなければ撮れない場所を撮影するために出掛ける。尚、今回の撮影記は午前と午後の二部になる。

まずは会津川口駅に停泊する車両を確認し、撮影地の見当をつけようとしたが、急な腹痛に襲われ、道の駅「奥会津かねやま」のトイレで暫く動けなくなった。時間の経過とともに落ち着いたものの、始発の時刻が迫り、近くの大沼郡金山町大字中川字中町で撮ることにした。

「夏風老いる」~ F8・SS1/160・ISO400 ~
車両は05:36通過の上り422D。当日の日の出は05:11。それから25分ほど経ってはいるが、まだまだ山間部に陽は届かず、これからは始発便を撮ることが尚のこと難しくなってくる。等倍で見ると車両の此方側に乗客の姿を確認できず、夏の終わりの冷ややかな空気感の中にちょっとした寂しさのようなものを感じた。
それでも朝のタイフォンが集落の眠りを覚ますように響くと、寂しさは振り払われ、老いた夏風に代わる乾いた空気の中に、一瞬その音だけが季節の縁を照らしたように思う。

続いて横田方面へ向かう。この地では先述した先週撮れなかった地点、そして日にち限定の撮影を行う。最初はいつも水を汲んでいる、大沼郡金山町大字横田字目黒の熊野神社だが、横田周辺の神社では九月の第一週の土日が祭礼日となり、幟旗が立てられる。
予定では画像の白線部になる、田んぼ間の路から撮るつもりであったが、今年は出入り口に電気柵が設置されており、立ち位置を変えることにした。

「禾乃登」~ F10・SS1/320・ISO320 ~
車両は07:38通過の上り426D。立ち位置を変え、寄るか引くか悩んだ結果、色付いた田んぼの様子を取り込むための構図を選択したが、残念なことに列車通過時には重々しい雲に変わってしまった。
私の家の周囲では続く雨のせいか、それとも肥料の影響か、倒れた稲が多く目に付くが、この一帯の田んぼでは、穂の重さを受け止めるようにしっかりと立っていた。

次は横田字山根に移動し先週撮れなかったポイントに立つが、どうやら時間判断をミスったようだ。曇り空なら難なく撮れるが、太陽が昇り明暗差が強く出てしまった。それでも何とかならぬものかとフレーミングなどを色々と探ってみる。

「秋に成る朝」~ F10・SS1/320・ISO200 ~
車両は08:39通過の下り423D。結果的に縦構図とし、手前側の日蔭部分を大きく取り込んだ。それにより日向と日蔭の気温差を表現したかったのだが、縦構図にしたことで、手前の影と奥の光がひとつの面として立ち上がり、その境目に吹く風が、夏から秋へ移る朝の静かな変わり目をそっと照らしているように思えた。
そして日向の光は強さを保ちながら乾いた色を帯びはじめ、日蔭の湿り気と薄い対照を創りながら、季節が折り返す気配を静かに示していた。

午後からは会津美里町、蓋沼森林公園での撮影を予定しており会津平へ向かうが、途中で大沼郡金山町大字川口字上井草村下からの大志集落へ寄る。車両は09:39通過の下り425D。定期的に撮っている場所だが、これ迄のようなフレーミングが叶わず、気が付くと樹木の枝が伸びて景観を遮っていた。
またこの時間になると陽射しが強くなりコントラストが高くなる。暑さ寒さも彼岸までと云うが、彼岸の頃になればその陽射しも優しくなると思うが、その頃にまた訪れてみたい。
金山町を後にし会津平へ向かう。太陽は勢いを増すが、真夏の空気感とは異なり心地良い乾いた風が車窓から吹き込む。この風を感じるようになると、夏の名残りが静かにほどけ、秋へ向かう途上の薄い層がそっと立ち上がり始める。
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