レタッチは是か非か 其の二

一年前「レタッチは是か非か」の記事をupした。その中でレタッチは補正、最終仕上げが目的であり、撮影時から前提にすることを個人的結論としたが、今回はもうちょい具体的な事柄を記しておきたいと思う。


さて夏は只見線の川霧を追っている次第だが、ある朝、隣で撮っていた年配の方が露出で悩んでいた(傍から見れば私も年配 w)。話を聴くと鉄道撮影のSSは最低でも1/500秒と教わり、その通りに撮ると暗くなってしまうということだった。
確かに鉄道撮影のSSは1/1000秒が基準と云われるが、これは日中の明るい状況下であり、夏とはいえ霧が立ち仄暗い只見線の始発では話しが異なる。


何かで読んだか聴いたかしたが、時速50kmで動く物体を1/500秒で撮ると、その物体は1/500秒の間に2.8cm移動するようだ。因みにWikipediaに拠ると只見線の時速は65kmと記されているが、おそらくこの速度は平坦部であり、各橋梁はかなり遅く目測で30km位と思われる。つまりこれらを考慮し2.8cmの動きをどう捉えれば良いかだが、車両が目の前を通り過ぎて行くならいざ知らず、遠く離れている場合ならそれほど厳格に捉えなくても良いのではなかろうか。

上は三島町の只見線ビューポイント上段からの第一橋梁俯瞰、等倍画像になる。距離は直線で凡そ500m、露出はSS1/80・絞りF8・ISO500。暗いのでISOを上げ、且つSSは1/80秒とかなり遅い。遅いながらも動体ブレはないように見えるが如何なものだろうか。
当然SSを稼ぐため絞りを開けたりISO感度を上げることは大前提ながら、これは各レンズやカメラの性能差があり全てが同じではない‥と、レタッチとは異なる話が長々と続いてしまったが、これらのことを先程の年配の方に説明し、要は露出も含め車両との距離間などなど、試し撮りやネット上の画像を参考に自分也の許容範囲を決める必要がある。


という訳で只見線の始発は暗いのであります。前出したように霧が立てば尚更であり、SSを開けられない撮影なのでどうしても後のレタッチが必要となる。

これは以前upした「色淡き朝は夢む」 F5.6・SS1/125・ISO400だが、下は無修正画像。

絞りをやや開け、ISOをそこそこ上げてもこの暗さだ。下記文書はup時のもの。


・・・霧及び雨模様で全体的に暗めであり絞りはやや開けている。それでも画像は暗く後のレタッチで明るさの補正を前提で撮影。撮影時WBは5800kを選択したがレタッチの際に5200kに変更、同時に明るさと色合いの調整を行う。また霧部分にノイズがあり除去する・・・


言葉でレタッチ内容を述べても分かり辛いのでBefore・Afterの画像をupしたが、付け加えるとコントラストも強調、その効果の結果で明るさ補正の度合いを決めた。レタッチの方法は各ソフト毎に違うので触れないが、カメラの性能・特性などで表現出来ないものを再生・再現するのがレタッチであり、撮影時以上に撮影者の表現力、及びその時の光や色彩の記憶力が必要かも知れない‥と、相も変わらず素人の独り言でありました。