友川かずき

秋田生まれの彼は宇崎竜童の尽力によりデビュー、秋田訛りのアクの強い歌唱と強烈な歌詞で独自の世界を持つ。中原中也の詩に衝撃を受け中原の詩に曲を付けたアルバムも発表、また愚生の記憶が正しければ、”3年B組金八先生”で「トドを殺すな」が使われていたと思う。

数年前 「IZO」なる幕末の人切り以蔵こと岡田以蔵の映画を観た。内容は以蔵がこの世に甦り、過去と現在、そして神世界など次元を超越するという突拍子もなく、且つサイケデリックなものだが、劇中友川がギターを抱え数曲歌っている。


豪華な出演者陣でありながらも見る人を選ぶというか、独特の世界観に拒否反応を示す場合もあると思う。その映画の中で昔と変わらぬスタンスでアコギを掻き鳴らし、コップ酒を呑みながら絶叫する姿に久しぶりに音楽というもので衝撃を受けた。


アナログ盤は二枚ほど持っていたと思うが、「生きてるって言ってみろ」や「死にぞこないの唄」、そして「一切合財世も末だ」、「歩道橋」などなど燃焼と破壊寸前の狂気を感じる。


特に「歩道橋」の音楽観と精神世界は、何故かピンク・フロイドの「ファイナル・カット」を彷彿してしまうのだが、彼の楽曲の数々を聴くと、日本でこれだけストレートに心に響く音楽を他には知らない。言い換えれば現在の歌謡曲やらJ-POPやら、表向きだけ洗練された音楽が如何に蔓延っているかが伺える。